平成23年(2011年)1月
弁護士 丸井 英弘
憲法(けんぽう)とは国家の組織や統治の基本原理・原則を定める根本規範(法)をいう。近代的な立憲主義においては、憲法の本質は基本的人権の保障にあり、国家権力の行使に枠をはめて、無秩序で恣意的な権利侵害が行われないようにするためのものであるとされる。(「ウィキペデアフリー百科事典」より引用)
第1。大麻取締法の違憲性1
大麻取締法は、社会的必要が無いのに、占領米軍の占領政策として一方的に制定されたものであり、以下に述べる通り、占領後の日本を石油繊維などの石油製品の市場とするために、石油繊維とその市場が競合する大麻繊維の原料となるカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる大麻の栽培を規制したものであるので、憲法第31条の適正手続き条項に反し、また同法第12条の職業選択の自由や同法第13条の幸福追求権に違反する違憲立法であると考えます。
1。大麻取締法ではその1条で、「大麻」の定義として、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」と規定しており、現行大麻取締法で規制されている大麻はカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる種のみであり、かつ大麻の薬理成分とされるTHCの含有の有無とは無関係である。
なお、1961年の麻薬に関する単一条約(昭和39年12月12日条約第22号)では、第1条定義で「大麻」とは、「名称のいかんを問わず、大麻植物の花叉は果実のついた枝端で樹脂が抽出されていないもの(枝端から離れた種子及び葉を除く。)をいう。」と定義付けされている。大麻取締法はまさに「産業上の目的(繊維及び種子に関する場合に限る)」の大麻栽培を原則的に禁止しているので、この国際条約28条2項にも違反するものである。
また、1992年5月に「生物多様性条約」がつくられ、2008年10月現在、日本を含む190ヶ国とECがこの条約に入り、世界の生物多様性を保全するための具体的な取組が検討されているが、その条約2条では、「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む、とされており、大麻を規制することは、この生物多様性条約の趣旨にも反するものといえるのではないかと思います。
大麻とは、日本名でいえば、麻(あさ)のことであり、植物学上はくわ科カンナビス属の植物である。そしてカンナビスには種(しゅ)として、少なくともカンナビス・サティバ・エル、カンナビス・インディカ・ラム、カンナビス・ルーディラリス・ジャニの三種類があることが植物学的に明らかになっている。各名称の最後にあるエルとかラムとかジャニというのはその種を発見、命名した学者の名前の略称であり、サティバは1753に、インディカは1783年に、ルーディラリスは1924年に発見、命名された。いずれも大麻取締法が制定された一九四八年以前のことである。
大麻のうち、(カンナビス・サティバ・エル)と呼ばれる種類は、日本において縄文時代の古来から主に繊維用に使われて来たものであり、特に第2次大戦前は、繊維用などに不可欠な植物として国家がその栽培を奨励したきた植物である。
そして大麻取締法は、この衣類の生産など産業用に栽培されてきた日本人にとって貴重な植物である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)の栽培等を規制した占領米軍による占領立法である。従って、大麻を規制する社会的必要性がまったくなかったので、大麻取締法は、その立法目的を明記していないという法律として異例な形をとっている。占領米軍は、占領後の日本を石油繊維などの石油製品の市場とするために、石油繊維とその市場が競合する大麻繊維の原料となるカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる大麻の栽培を規制したものである。 このような法制定過程そのものに疑問がある大麻取締法は、憲法第31条の適正手続き条項に反し、また同法第12条の職業選択の自由や同法第13条の幸福追求権などに違反する違憲立法であるといわざるを得ないものである。過去の判例は、大麻取締法の立法目的を「国民の保健衛生の保護」としているが、日本において、大麻の栽培使用は縄文時代の古来から行われて来たのであり、大麻取締法制定当時も含めて「国民の保健衛生の保護」上の問題はまったく起こっていなかったであるから、その解釈は間違っているものである。
長野地方裁判所伊那支部で、昭和61年9月10日に、私が弁護人として担当した大麻取締法事件の証人として、厚生省麻薬課長の証人尋問がありましたが、その証言が、私と中山さんの共著である「地球維新 vol.2」70頁以下に紹介されていますので、以下厚生省麻薬課長証言を引用します。その中で、大麻規制は、昭和20年のポツダム命令で始まったことが明らかになっていますが、このポツダム命令自体その根拠法令であるポツダム宣言10項に反しているものです。
ポツダム宣言10項では、「吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜(ふりょ)ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙(しょうがい)ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由並ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ」としていますので、大麻の栽培とその利用は、日本国民の基本的人権であり、それを規制する事自体ポツダム宣言10項に反するものです。また、ポツダム宣言12項では、「前記諸目的ガ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収(てっしゅう)セラルベシ」としていますので、日本国憲法が施行された昭和22年5月3日以降は、占領軍は直ちに撤収するべきであるのに、それ以降駐留しつづけているのは、このポツダム宣言12項に違反するものです。
「
弁護人
現行の大麻取締法ですが、途中で改正もあったようですが、これは昭和23年に制定されたものですね。
証人
ええ、現行法は23年に制定されております。
弁護人
それ以前は大麻規制はどのようになっていたんでしょうか。
証人
これは私も文献的に調べる以外に手がないんでございますけれども、ずい分古いようでございまして、一番初めは大正14年に通称第二アヘン条約と言われます条約が出来まして、それで大麻の規制をしようという条約が出来ましたのを受けまして、昭和5年に当時の麻薬取締規則というものの中にこの大麻の規制が取り込まれたと。
ですから昭和5年が一番初めということでございまして、それ以降昭和18年頃に薬事法という法律の中に法律が整備されまして取り込まれたというふうに文献は示しております。
それ以降昭和20年になりましてポツダム省令で国内における大麻を含めまして、一切禁止の措置になったと。
それでは産業上非常に困ってしまうということがありまして、昭和22年に大麻取締規則というものが出来たと。
さらにその大麻取締規則が昭和23年に至って現行の大麻取締法というものに変えられたということでございます。
弁護人
すると、昭和4年の麻薬取締規則は第2アヘン条約を受けてできたものであるということですか。
証人
文献上そのような経過の記録になっております。
弁護人
そうしますと、国内的にわが国で、当時大麻の使用によってなにか弊害というものがあったから出来たのか、それとも国際条約を批准したという関係から一応作ったのかその辺はどうなんでしょうか。
証人
これは、多分当時国内において大麻の乱用がみられたということはなかったんではないかと思います。
むしろその国際的な条約を受けましてそういう規定が出来たというふうに考えます。 」
「弁護人
昭和5年の麻薬取締規則で規制していたのはインド大麻と言われるものだけであったんではないですか。
証人
そうでございます。インド大麻というふうになっていたと思います。
弁護人
規制内容は具体的にはどういう規則だったんでしょうか。
証人
詳細については、私、記憶ございません。
弁護人
規制内容としては、インド大麻を輸出入する場合にそれを内務大臣に届けるというような、いわば届出制のような規制じゃなかったんでしょうか。
証人
大変恐縮でございますが、私その規制の具体的な内容につきましては............。
弁護人
国内で栽培もしくは野生ではえておりますいわゆる麻ですけれども、これは規制の対象にはなっていたんでしょうか、昭和5年の規則では。
証人
当時は規制の対象になっていなかったと思います。
弁護人
ところで、昭和23年に現行法が出来たわけですが、これは具体的にはどういうようないきさつから立法されたんでしょうか。
証人
ポツダム省令というものをうけ、22年に大麻取締規則というものが出来たわけですが、当時そういった法律を更に整備していくという過程の中で、法律化されたのではないかというふうに思うんでございますが、実はその規則ができまして、それが更に法律に形を整えられていったという過程の記録等につきまして、私今回かなりいろいろ課の者達に手伝ってもらいまして捜してみたんですが、その間の経過は記録文書上かならずしもはっきり御説明できるものが見当たりませんでした。
弁護人
実は、私が読んだ資料の中では内閣法制局長官をされていた林修三さんが「法律のひろば」で大麻取締法の制定当時の事情を書いてる文献を読んだことがあるんですが、私の記憶ではいわゆる連合国占領国ですね、GHQの強い要望で出来たんだと、日本国政府としては特別に規制するという必要性というのは特別にはなかったんだ、というような趣旨ですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
証人
私も林修三さんという方が書かれた文章は読んだ記憶がございますが、戦後ポツダム省令等に基いて作られました各諸法令をさらに整備していくという過程の中で、大麻取締法という法律がいるかどうかということについての御議論があって法制局サイドではその必要性について若干疑問を持ったと。
しかし、当時の厚生省はまだそこまでの踏ん切りがつかなかったということ、しかし今になってみるとそこまでしなかったほうが良かったんじゃないかと、いうような一つの随想といいますか、エッセイのようなものを読んだことは記憶がございます。
弁護人
昭和20年から23年当時ですけれども日本国内で大麻の使用が国民の保健衛生上問題になるというような社会状況はあったんでしょうか。
証人
20年代の始め頃の時代におきまして大麻の乱用があったということは私はないんではないかというふうに思います。
弁護人
そうしますと、この大麻取締法を制定する際に、大麻の使用によって具体的にどのような保健衛生上の害が生じるのか、ということをわが国政府が独自に調査したとかそういうような資料はないままに立法されたと考えて宜しいわけですか。
証人
これは推定するほかないんでございますが、そういう資料はなかったんではないかと。 」
また、昭和38年に大麻取締法が従来あった罰金刑が廃止され、懲役刑も強化されたが、次に引用する前述の麻薬課長証言によっても、当時大麻使用による具体的な弊害というようなものは社会的に存在しなかったものである。
「
弁護人
ところで、昭和23年の制定当時の法律ですけれども、法規制の内容としましては罰金刑というものは当初ありましたか。
証人
ありました。
弁護人
内容は大体どのような............。
証人
罰金刑といたしましては、栽培等については当時の法律では3000円か5000円以下の罰金という規定があったと思います。
弁護人
所持とか譲渡の場合も大体同じですか。栽培・所持と輸出入と分けてますね。
証人
ちょっと、私今...........。資料は持っておりますけれども。
裁判官
資料御覧になりながらで結構です。
弁護人
昭和23年の現行法の制定当時の刑の内容です。
証人
23年当時というふうにおしゃられるんですが、今私が持って参りましたのは28年の改正分以降のものですから、ちょっと正確性に欠けるかもしれませんが所持・栽培につきましては38年の改正が行われる以前におきましては罰金刑がございまして、3万円以下ということが書いてございます。
弁護人
あと懲役としては、どのような内容でしょうか。
証人
3年以下の懲役または3万円以下の罰金に処するという規定でございます。この際には所持・栽培・譲り受け・譲り渡しというものがその対象になっております。
弁護人
現行は所持・譲渡・譲り受け・これは懲役5年以下ですね。栽培・輸出入が懲役7年以下というふうにかなり重くなったわけですね。
証人
はい。
弁護人
昭和38年に罰金刑を廃止する、かつ懲役刑についても3年以下のものを5年とか7年にするというふうにかなり厳しくされたわけですが、これはどういうような理由からなんでしょうか。
証人
この当時の法律改正の背景と致しましては、昭和30年代末期にわが国では御存知のとおり、ヘロインを中心と致します薬物乱用がずい分はやりまして非常に深刻な社会問題として受けとめられていた状況がございました。
それで当時の状況を記録によって見てみますと、実にさまざまな対策がこのヘロインといいましょうか麻薬撲滅という観点から行われているわけですけれども、その一環として麻薬取締法の改正も行われました。
罰則の強化だとか中毒患者につきましての措置入院の制度も作られるというような方策も講じられております。
で、当時合わせて大麻取締法も改正されておりますが、私思いますのには、当時のそういった麻薬を中心とする薬物乱用状況という物を背景にいたしまして、わが国から薬物乱用の問題を一掃しようという一種の国民的な世論の盛り上がり、そういう背景のもとに関連法規である大麻取締法についても罰則の強化がはかられた。
当時は、大麻の乱用事例というのは私はそう多くはなかったと思いますが、罰則を強化することによって薬物乱用を一掃しようということで、この法律改正がはかられたというふうに考えます。
弁護人
そうすると、昭和38年当時に大麻使用による具体的な弊害というようなものはあったんでしょうか。
証人
具体的な弊害がどの程度あるかということについては私は承知しておりません。 」
2。第2次大戦前の日本における大麻の栽培風景は、1929年の第16回二科展に発表された清水登之氏の「大麻収穫」という次の絵のとおりである。清水氏は栃木県出身であり、その絵は1920年代の栃木県鹿沼地方での大麻収穫風景を描いたものである。(「地球維新 vol.2」扉の裏参照)

また、中山康直氏著の「麻ことのはなし」評言社2001年10月10日発行の46頁で農業絵図文献よりの引用で「古来から日本の各地の畑で見られた麻刈りの風景」という題で次の絵が紹介されている。

さらに、昭和12年9月に栃木県で発行された大麻の生産発展を目的にして発行された「大麻の研究」という文献あるが、その45頁で日本における麻の分布図を引用しているがであるが、その内容は次のとおりであり、大麻が日本全国において縄文時代の古来から栽培利用されてきたことは明らかである。なお、「大麻の研究」の末尾で著者(栃木県鹿沼在住)の長谷川氏は次のように述べている。
「斯る折に本書が発刊されこの方面に関心を持つ人達に愛玩吟味されて日本民族性と深い因縁のある大麻に対する認識を新たにし、是が生産発展上に資せられたなら望外の幸と存じます。」(「地球維新 vol.2」6〜7頁参照)
大麻の栽培が日本の伝統的な文化財であることは、大分県日田郡大山町小切畑で大麻すなわち麻の栽培をしている矢幡左右見さんが 1996年(平成8年)6月26日、文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けたことからも明らかである。大山町のホーム頁でその記事の要約を次のとおり紹介している。このように、大麻の栽培者が文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けているのであり、大麻すなわち麻を犯罪として取り締まることが不適切であることは、明白である。
『 矢幡さんは、昭和6年に栽培を始め、49年から福岡県久留米市の久留米絣(かすり)技術保存会から正式な依頼を受けて粗苧の製造 を始めました。以来、矢幡さんは毎年、粗苧20Kgを出荷しています。粗苧(あらそ)とは、畑に栽培され、高さ2メートルに成長した麻を夏期(7月中旬頃)に収穫して葉を落とし、約3時間半かけて蒸し、さらにそぎ取った表皮を天日で一日半ほど乾燥 させて、ひも状にしたものです。粗苧は、国の重要無形文化財である「久留米絣」の絣糸の染色の際の防染用材として使われ、久留米絣の絣模様を出すためには欠かせないものです。しかし、栽培・管理の手間に比べて利益率が低いことから生産者は減少の一途をたどり、 現在では矢幡さん一家を残すのみとなりました。 久留米絣の模様は粗苧なしではできないといわれており、粗苧が無形文化財の保存・伝承に欠く ことのできないものであるということから、今回の認定になりました。矢幡さんは、「ただ、自然にやってきたこと だけなのに、とても名誉なことです。」と話しています。』
また、「麻 大いなる繊維」と題する栃木県博物館1999年第65回企画展(平成11年8月1日ー10月24日)の資料集では、次のあいさつを紹介している。
「ごあいさつ
麻は中央アジア原産といわれ、わが国への渡来も古く、古代より栽培されています。
表皮を剥いで得られる繊維は、他の繊維に比べ強靱で、肌ざわりがよく、木綿や羊毛、化学繊維が登場するめで、衣服や漁網、下駄の鼻緒の芯縄、各種縄などに用いられてきました。その一方では麻は特別や儀礼や信仰の用具に用いられ、現在でも結納の品や神社の神事には欠かせない存在となっています。麻は実用のみならず信仰・儀礼ともかかわる、まさに大いなる繊維でした。
ここでは、質量とも日本一の「野州麻」の産地である足尾山麓一帯で使用された麻の栽培・生産用具、麻の製品、ならびに東北地方の一部で使用された麻織物に関する用具や麻織物を展示するものです。
麻がどのように生み出され、利用されてきたか、大いなる繊維「麻」について再認識していただければ幸いです。
おわりに、本企画展の開催にあたり、御指導御協力をいただきました皆様にこころより、御礼申し上げます。
平成11年8月1日 栃木県立博物館館長 石川格 」
そして、表紙の2頁目では、次の鹿沼市立北小学校校歌が紹介されているが、このような麻が第2次大戦後の占領米軍による占領政策でもって犯罪視されてしまったのである。
「 鹿沼の里に もえいでし
正しき直き 麻のこと
世の人ぐさの 鏡とも
いざ 伸びゆかん ひとすじに 」
(「地球維新 vol.2」213〜217頁参照)
3。大麻草は日本の国草である。
大麻草とは、縄文時代の古来より衣料用・食料用・紙用・住居用・燃料用・医療用・祭事用・神事用に使われ、日本人に親しまれてきた麻のことであり、第二次大戦前はその栽培が国家によって奨励されてきた重要な植物である。このように大麻草は精神的にも物質的にも、日本人のシンボルともいえる植物であり、桜が日本の国花とするならば、大麻草は日本の国草である。
第2次大戦前の日本人の生活、特に明治以前の生活では、生まれる時のへその緒は麻糸で切り、赤ちゃんの時は麻のように丈夫にすくすく育つようにとの親の願いから麻の葉模様の産着で育てられ、結婚式では夫婦が末永く仲良く幸せであることを願って夫婦の髪を麻糸で結ぶ儀式をしていたのである。そして、葬式で着る衣は麻衣であった。日常生活では、麻の鼻緒で作った下駄を履き、麻布でできた着物ーなお、下着は褌であり江戸時代以前は麻布が使われ、成人式の記念に親から褌祝いとして麻褌が与えられたようであるーを身に付け、麻の茎の入った壁や天井に囲まれた家に住み、麻糸で作った畳の上で過ごし、夏は麻糸で作った蚊帳で休んでいたのである。また、麻の油は食用や灯油として活用された。また、麻糸は漁業用の網としても多く使われたが、凧糸や弓の弦としても使われたのである。麻の茎も炭にして、花火の原料としても使われた。
このように、大麻草すなわち麻は、伝統的な日本人の生活にとって必要不可欠な植物であったのである。そして、伊勢神宮のお札のことを神宮大麻というが、大麻とは天照大神——つまり太陽——の御印とされており、結局のところ、日の丸とは太陽のことであるから大麻は日の丸のつまり日本人の象徴ともいえるのである。なお、大麻は神道においては、罪穢れを祓うものとされており、大和魂ともいわれている。
大麻が方除・厄除・開運の神様として祀られている四国徳島県大麻町にある阿波一宮 大麻比古神社 の御神体である「大麻さま」を現した「お起上りだるま」の次のような口上からも明なように、大麻草は、有害なものとして取り締まる植物ではなく、逆に有益かつ神聖な植物である。
口上
「大麻さま」は方除・厄除・開運の神様であります。不浄、悪魔祓をして新しい元気をとり戻して再び起上るしるしとして古くから参拝者に授与しているのがこの「お起上りだるま」であります。
阿波一宮 大麻比古神社
ところが、第二次大戦後のアメリカによる対日占領政策で、大麻草の栽培が一方的に規制された。占領政策の目的は、日本古来の文化を否定し、アメリカに従属する産業社会を作ることにあったと思われる。
日本人にとって罪・穢れを祓うものとされてきた大麻草を犯罪として規制することは、大麻草に対する従来の価値観の完全なる否定である。また大麻草は、自給自足型・環境保全型の社会にとって極めて有用な素材であり、これを規制し石油系の資材に頼る産業構造にすることは、アメリカに経済的にも従属する産業構造への転換を意味していたと思う。
日本は、明治維新によって近代化の道を歩んだが、特に第二次世界大戦後は、戦後生活の建て直しということもあり、物中心の競争原理に立った経済活動を優先してきた。また、生活習慣も、例えば、食生活が米からパンに変わり、畳の生活も椅子の生活に、薬の分野でもいわゆる化学的合成薬が取り入れられ、従来の東洋医学は軽視されてきたのである。大麻草は薬用としても何千年も使用され、日本薬局方にも当初から有用な薬として登載されていたにもかかわらず、大麻取締法の施行に伴って薬局方から除外されてしまった。
日本人の伝統の中には、自然を聖なるものとして大切にしてきたものがあった。しかし経済復興の名のもとに、例えば原子力開発や大規模ダムの建設等自然生態系とそこに住む人々の生活を破壊する経済開発が国策として進められてきたために、川や海、そして大気は汚染されてしまったのである。大麻取締法は、日本人にとって、大自然のシンボルであり罪・穢れを祓うものとされてきた国草ともいえる大麻草を、聖なるものから犯罪にし、さらに大麻草の持つ産業用や医療用の有効利用を妨げているのである。
大麻草すなわち麻が、伝統的な日本人の生活にとって重要な植物であったことは、以下のように地名からも明らかである。
1) 川崎市麻生区役所のホーム頁では、麻生区という名前の由来について区のプロフィールのなかで、次のように紹介している。
麻生(あさお)区は昭和57年(1982)7月1日、川崎市の行政区再編によって、多摩区から分区し誕生しました。麻生の名の起こりは、8世紀頃から朝廷への貢ぎ物だった麻布の原料である麻を広く産した地であったことによると伝えられ、南北朝時代の「比志島文書」の記録にある「武蔵国麻生郷時顕」に由来するものとされています。鎌倉時代に王禅寺の等海上人が発見したといわれる「禅寺丸柿」は、独特の甘味を持ち、江戸時代から戦前にかけて人気を集めました。「柿生」(かきお)の地名はこれに由来しています。また、麻生区をはじめ多摩丘陵一帯では「黒川炭」や「養蚕」も盛んでした。」
また、麻生区シンボルマークについて次のように述べている。
「麻生」という地名の由来を大切にし、昔この地域で多くとれたという「麻の実」をデザインモチーフに、その中にASAOの「A」を組み込んでいます。一本のなめらかな曲線のふたつの輪は「平和」を、ASAOの「A」は躍進をあらわしています。
2) 匝瑳市のホーム頁で、匝瑳市の名称について、次のように紹介しており、「美しい麻のとれる土地」という意味があるとする有力な見解がある。
「 匝瑳(そうさ)市の名称について
『匝瑳市』という名称を選定した理由
匝瑳市は、平成18年1月23日、八日市場市と匝瑳郡野栄町が合併して誕生した市です。市の名称については、八日市場市・野栄町合併協議会において、15歳以上の住民を対象に両市町の名称を除いて行ったアンケート調査で1位であったこと、また、両市町の(旧)郡名でもあり住民が共有して一体感の持てる名称であったことから決定しました。
匝瑳の由来・語源について
匝瑳という地名は、現存のものでは、奈良東大寺正倉院に伝わる庸調(「ようちょう」朝廷に納めた特産物)に見られる天平13年(741年)の記録が最も古いとされています。匝瑳という地名の由来は、平安時代前期の歴史書「続日本後紀(しょくにほんこうき)」によれば、5世紀の終わり頃から6世紀のはじめにかけて、畿内(現在の近畿地方)の豪族であった物部小事(もののべのおごと)という人物が、坂東(ばんどう・現在の関東地方)を征した勲功によって、朝廷から下総国の一部を与えられ、匝瑳郡(さふさごおり)とし、小事の子孫が物部匝瑳(もののべのそうさ)氏を名乗ったと伝えられています。
匝瑳の語源については、諸説あって定まっていませんが、発音での「さふさ」という地名があり、「さ」は「狭」で美しい、「ふさ」は「布佐」で麻の意で、“美しい麻のとれる土地”であったとする説や、「さ」は接頭語で、「ふさ」は下総国11郡中で最大の郡であったことに由来するという説があります。匝瑳は、「さふさ」に縁起のよい漢字を充てたものと考えられています。
なお、漢和辞典によれば、漢字の「匝」は、訓読みで“匝(めぐ)る”と読み、一巡りして帰るという意味があり、「瑳」は、訓読みで“瑳(あざ)やか”あるいは“瑳(みが)く”と読み、あざやかで美しいという意味があります。
なお、全国的に名門校とされている麻布中学・高等学校の校歌がホーム頁で紹介されているが、その2番では、麻のことが次のように歌われている。
麻布中学・高等学校校歌
作詞 : 森 六蔵 他 作曲 : 池 譲
1.千代田の南 麻布の丘に
筑波のみどり 富士の白雪
朝な夕なに 窓より仰ぎ
学びにいそしむ わかきますらを
2.蓬(よもぎ)にすさぶ 人の心を
矯(た)めむ麻の葉 かざしにさして
愛と誠を もといとたてつ
新しき道 先きがけ行かむ
そして、麻布学園の校章について、ホーム頁で次のように説明しているのである。
麻の葉をデザイン化したものです。麻は、中国古代の思想家、荀子(じゅんし)の「蓬(よもぎ)も麻中に生ずれば、扶(たす)けずして直(なお)く、白沙(はくさ)も涅(つち)にあらば、これとともに黒し。」という言葉通り(校歌の2番にも引用されています)、自主・自立の校風と、仲間を大切にしながら豊かな人間性を育むという、学園の教育の理想を表しています。
4。米軍による軍事占領下の1948年(昭和23年)7月10日に大麻取締法が制定されてからすでに62年が経過した。そして、1950年(昭和25年)に日本全国で25118名いた大麻栽培者は、2008年(平成20年)には58名まで減少してしまった。この減少した理由は、毎年の免許更新手続きが面倒な大麻取締法による規制のためと安価で大量に生産できる石油化学繊維の台頭によって麻製品の市場がなくなったことによると思われる。
しかしながら、大麻には、次のような有益性があるのであるから(逆に大麻にはこのような有益性があるから、日本をアメリカ系の石油系産業の市場とするために占領政策として大麻産業を規制したのが大麻取締法である)、占領政策である大麻取締法の当否を根本からみなおすべき時期に来ていると考える。
4。大麻の有益性
大麻は、刑事罰で取り締まる必要がないものであるばかりか、紙用・繊維用・燃料用・食用・薬用等人類にとって貴重なる植物である。
第二次大戦後、日本で大麻取締法の制定を強行したアメリカを初めオランダ、ドイツ、スイス、カナダ、オーストラリアなどでは大麻を地球環境保護の立場から見直す動きがでているが、大麻には次のような有益性があると指摘されている。なお、アメリカでは建国当時は大麻の栽培を奨励したのであるが、1930年代になって石油系の化学繊維が開発され、大麻とその市場が競合することが大麻の禁止をした社会的背景である思われる。
①大麻から繊維がとれかつ土壌を改良する働きがある
大麻は栽培密度と収穫時期を調節することにより、絹に近い繊細な衣類や船や工場で使うロープまで、さまざまな品質の製品が作られる。しかも大麻の栽培には化学肥料が不要で、熱帯から寒冷地、沼沢から乾燥地帯まで多様な気候・土地条件のもとで育ち、かつ大麻の根の働きによって土壌自体を改良する働きがある。
②大麻から紙や建築用材、さらには土壌分解可能なプラスチック等ができる。
森林は人類に酸素を供給してくれるなど貴重な資源であるが、日本を始め先進国が紙や建築資材にするために森林の大規模な伐採を行なっており、地球環境の破壊が日々進行している。 大麻は一年草であり数カ月という短期間で成長し、その茎は紙の材料になったり建築用の合板に加工でき、さらには土壌に分解可能なプラスチックも出来るため、大切な森林を守ることが出来、またゴミ問題の解決に役立つものである。「独立
宣言」を起草したアメリカ初代大統領のトーマス・ジェファーソンは、自分の農場で大麻を栽培し、製紙工場も持っていた。また、「独立宣言」の起草文は、大麻から作られた紙に書かれて、アメリカの国旗や紙幣までも大麻から作られたとのことである。なお、中国にある仏教の教典も大麻の紙から出来ているとのことでる。また、1940年代にはフオード社が大麻の繊維分を使って鉄よりも軽くてかつ丈夫な車体の製作に成功している程である。
③大麻から燃料ができる
大麻の茎や葉を発酵させることにより、燃料(エタノール)が出来る。また、大麻の種にもオイル分が含まれている。地球の温暖化は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)が放出する二酸化炭素が大気中に蓄積していくために生じる。しかし、大麻を燃料用に栽培すれば、成育途中で光合成により二酸化炭素を酸素に変えるので、地球の温暖化を防ぐことが出来る。
④麻の種の有効利用
麻の有効利用のなかで極めて注目すべきものが、種の有効利用である。この種の有効利用については、日本ではほとんど注目されていないが、医療用・食用・燃料用など多目的に利用することができるので、今後その有効利用について調査・研究・開発をする価値が大いにあると思われる。そして、大麻はどこにでも生えるので、地球規模で生じると予想される食料不足を解決する可能性がある。
1)麻の種の成分の分析
(オランダ アムステルダムにあるGREEN LANDS という麻製品を取り扱っている店が発行している資料に基づいてまとめた。この資料は、ハンガリーのブタペスト大学の調査を参考にしています。)
蛋白質 約23%
油分 34% (この油分には、人間にとって必要な必須脂肪酸であるリノール酸とαーリノレイ酸が3対1という理想的な割合で含まれている。)
繊維質 20%
栄養素としては
ビタミンB1.2.3.6,E,C
カルシウム
2)用途
⒈種は、中国では5穀の一つに数えられているように、有用な食料である。
⒉種に含まれる油分は燃料になる。
⒊種に含まれる油分は、皮膚の健康によく、アトピー性皮膚炎や火傷、花粉症などにも有効といわれている。
また、種自体、便秘などの胃腸薬として市販されているし、七味とうがらしの中にも入っているのである。
⑤大麻から医薬品ができる。
古代から人類は、大麻を安全な医薬品として使用してきた。喘息、緑内障、てんかん、食欲減退、憂鬱などに効果があるほか、ストレスの解消にもなる。日本でも印度大麻煙草が、喘息の薬として、明治以降第二次大戦後まで市販されてきたが、格別の副作用や弊害は何ら報告されていない。
小林司氏は別添『心にはたらく薬たち』一九二頁〜一九三頁の中で大麻の治療効果について次の様に 述べている。
「一八九五年(明治二八年)一二月一七日の毎日新聞にはこんな広告がのっている。『ぜんそくたばこ印度大麻煙草』として『本剤はぜんそくを発したる時軽症は一本、重症は二本を常の 煙草の如く吸ときは即時に全治し毫も身体に害なく抑も喘息を医するの療法に就て此煙剤の特効且つ適切は既に欧亜医学士諸大家の確論なり。』
日本薬局方にも印度大麻として載っていたくらいだから薬効があると考えられていたに違いないが、大麻は本当に薬効をもっているのだろうか。
一九七四年には、フレデリック・ブラントンが大麻を使って眼内圧を下げ、緑内障の治療をした。二年後には、ミシシッピー大学でも、緑内障に有効なことが確認され、フロリダ、ニューメキシコ、ハワイ、インディアナとイリノイの各州では、マリウァナを医学に使うことが合法化された。また、その後ガンに対する化学療法に伴う副作用としての嘔吐を抑えるために、大麻が一番有効なことが確認されている。
米国保健・教育・福祉省の『マリウァナと健康』第五リポート(一九七六年)によると、マリウァナは、眼内圧降下、気管支拡張、抗けいれん、腫瘍抑制(抗ガン作用など)、鎮静睡眠、鎮痛、麻酔前処置、抗うつ、抗吐、などの作用をもっており、アルコールや薬物依存の治療などに有効だ、という。 アルコール依存に効くのは、マリウァナがストレスを減らし、怒りにくくするかららしい。
もっとも古い精神薬の一つであるマリウァナが世界中に広まり、禁止される一方では、二億人もの人たちが毎日喫煙しているという歴史と現状とを私たちは見てきた。その薬理学的特性は一九七〇年代末になってやっと明確になった。その毒性は使用量と関係があるようだ。量が過ぎれば、酒でも睡眠薬で もスパイスでも毒になる。マリウァナの有毒性でなしに有益な点を明らかにして、プラスの面を活用するのが賢明な道というべきであろう。」
ハーバード大学医学部精神医学科のレスター・グリンスプーン氏もその著「マリファナ」『別冊サイエンス心理学特集不安の分析』の中で次の様に述べている。
「カンナビス・サテバは繊維原料として、土人が宗教的儀式に使う薬として、そしてインドでは特に薬剤として用いられ始めてから長い歴史を持つ。一九世紀に西洋では、さまざまな種類の病気や不快感、たとえばセキ、疲れ、リューマチ、ぜんそく、振戦譫妄(しんせんせんもう=ふるえや妄想)、偏頭痛、生理痛などに広くこの薬物が処方された。」
厚生省薬務局麻薬課発行の『大麻』57・58頁でも次の様に述べている。
「大麻が医薬品として使用された歴史は古く、中国では紀元前二〇〇〇年代に鎮静剤として使われていたようである。また、紀元後二〇〇年頃にも中国の魏で大麻を配伍した全身麻酔剤が使用されていたとの記録がある。
インドにおいても一〇〇〇年も前から、大麻が医薬品として使われていた。即ち”アユルベダ”と呼ばれるインド古来の医薬品体系や”Unami”と呼ばれるアラビア(回教徒社会)から伝来した医薬品体系において、不眠症、神経過敏症、消化不良、下痢、赤痢、神経痛、神経炎、リューマチ、フケ、痔、らい病、便泌等に使われていた。また催淫剤としても用いられていた。アルゼンチンでは破傷風うつ病、疝痛、淋病、肺結核、喘息等の万能薬として、ブラジルでは、鎮静、催眠剤、喘息薬として、またアフリカでは土着民の間で炎症、赤痢、マラリヤ等に用いられていた。欧米に目を転じてみると、イギリスにおいては、一八〇〇年代にインドで生活したことのあるO’shaugnessyが、心身の苦悩の治療や疼痛、筋肉痙れん、破傷風、狂犬病、リューマチ、てんかんに使用しているし、アメリカでも一八〇〇年代に破傷風から肺結核までの万能薬として使われていた。」
「わが国においても、大麻の医薬品としての応用について記した幾つかの文献がある。
一五九〇年に中国の李時珍により編さんされた『本草網目』(一八九二種の医薬品が収載されている)がわが国にも伝えられている。同書には、”麻仁酒”と云う医薬品が紹介されている。その効能、用法は『骨髄、風毒痛にして、動くこと能ざるものを治す、大麻子の仁を取り、沙香袋に盛り酒を浸してこれを飲む』と説明されている。」
「近代に入ると『万病治療皇漢薬草図鑑』に大麻を煙草に混じて吸うとぜんそくに効果があり、また便泌、月経不順によいと記されている」
⑥大麻繊維には免疫力を上げ、電磁波の悪影響を防ぐ効果があるとの見解がある
萩原弘通氏著の『免疫力を上げる生活』(株式会社サンロード社刊)293頁〜297頁では「絹・麻 と和紙で身を守る」と題し、次のとおりの指摘がなされている。
「私は、悪い電磁波を防ぐ物質は、かねて金属よりも絹、麻といった古来の繊維にあるのではないか、そして和紙も同様ではないかと想定していました。その理由は、絹の場合、桑(桑の有効性はもっと研究され、認識されるべきです)を食べたカイコが、マユを作って中でサナギ時代は全く自分で行動することができません。動けないさなぎの安全をはかるため、口から出すマユ糸にはかれらの免疫力が与えられていると思われます。そのあたりに悪い電磁波に対抗できる何かがあるのではないかという想定です。
麻はもっと理由がはっきりしています。ただの繊維ではなく、邪気を払い除ける祓(はら)いの用具として発達し、古代の昔から神事をつかさどる忌部(いむべ)|後に斎部|が栽培、加工してきました。ご弊(へい)は和紙で作りますが、それ以前は麻の繊維を束ねていたことでしょう。また神聖な場所は必ず麻縄で囲って外部と遮断しました。ビニールではいけないのです。忌部は阿波国で式内社・大麻比古神社を中心に吉野川流域に発展し、紀州から伊勢、遠江、駿河と東進します。おそらく一〜二世紀前後でしょう。伊豆で三島大社の祭神と婚姻関係を結び、伊豆七島から安房へ上陸して安房神社をつくりました。神道における祓いとは、心身にまとわりつく邪気(けがれ)を取り除く儀礼ですが、今日の人の目に見えない邪気の中にはいろいろあって、良くない霊魂(霊的エネルギー)、邪念(念波の中の邪悪なものでこれも微弱エネルギー)からも防御しようとしました。忌部たちはやがて麻作りから発展したであろう和紙の製造を担当することになります。麻を紙におきかえるようになったことは、和紙にも麻同様の力(ここでは祓いの用具としての実行性)がある事を認識したからだと思われます。江本勝氏によって『恨み』というメンタル波動は、肉体的には腸と皮膚波動と100%共鳴同調するとともに、神経細胞がいかれるだけでなく『超短波』波動を呼び込む事がわかりました。その逆もありえるわけで『超短波』波動の障害を受けていると『恨み』を受け止めてしまうわけです。そうした『超短波』『電磁波』波動を麻、和紙には防御する力がありそうだ、と私は推測したきたのです。この想定が正しければ、コピー機の周囲を麻でくくってしまうことが、〆縄で神聖な場所を囲う事と同じ論理が成立するかもしれません。」
「和紙などは、むしろ私たちの免疫力を上げる機能さえ持っています。和紙の原料は楮(こうぞ)、ミツマタ、雁皮などで、これにマニラ麻、桑皮、麻ぼろ、木材パルプなどを加えて、古来の手すき法で作っていますが、このなかで(未分析ですが)楮(こうぞ)の波動が良いのではないかと推定しています。前に、エジプト原産のモロヘイヤの波動について述べましたが、すばらしい波動をもっていました。モロヘイヤは麻の一種です。あの繊維で紙を作る構想もあると聞いています。完成したら、その波動を調べてみたいものです。こうした事から、技術者は一笑に付すことなく、日本古来の天然繊維を使って、いい電磁波防御服を作ってもらいたいものです。そして、日本の家屋が障子やふすま、つまり和紙で仕切られていることが、寒さを防ぎ風をさえぎっているばかりではない事を再認識したいものです。」
⑦バイオマスエネルギーにおける大麻の有用性
人類が排出する温室効果ガスによる地球温暖化問題は、最も深刻な環境問題をいわれている。そして、温室効果ガスの中でCO2は最も大きな影響力を有しその排出量の7割以上は化石燃料の燃焼に起因すると考えられている。したがって、地球温暖化を抑止するためには、エネルギーシステムからのCO2排出量の大幅は削減が必要である。そして、バイオマスは生育過程においてCO2を吸収するので、燃焼に伴うCO2排出量はゼロとみなすことができるのである。
バイオマスは、植物が光合成によって、太陽光と二酸化炭素から作り出したものであるが、植物が一年間に地球上で成長した量、すなわち一次生産量は、石油換算で約800億トンに相当し、全世界で消費しているエネルギーの約8倍に相当するといわれている。
大麻は、その生育期間が約100日であり、他方木材の場合にはその生育期間が50年から100年(短期サイクルのハイブリッド・ポプラでもその生育期間は5年である)であるので、大麻をバイオマスエネルギーとして使えば、木材よりはるかに有利にバイオマスとして利用できる。また、バイオマスのために植林をすれば、食料生産のための農地が減少することが考えられるが、大麻の場合には、その種が有用な食料源になるので、そのようなことはない。逆に、麻の生産は、バイオマスエネルギーと食料が同時に生産されるという有利さがある。
また、大麻の種に含まれている有用な成分の利用や茎に含まれているセルロースの有効利用は、人類の健康とゴミ問題の解決ためにも極めて大切である。
⑧麻産業の重要性
日本における環境問題・食料問題・エネルギー問題・雇用問題に対する今後の課題としては、環境循環型で自給自足を目指した経済・エネルギー政策の確立が必要である。
そのためには、現在の環境破壊型の産業構造を転換する必要がある。具体的には、農業・漁業・林業など自然生態系に即した産業の現代的回復が必要である。その中で紙・建材・生分解性のプラスチック・食料・エネルギー・医薬品などを生産できる麻産業の果たす役割は、極めて大きい。日本では例えば、製紙会社は木材パルプから紙を生産しているが、その既存の技術と設備を生かして麻パルプから紙を生産することが可能である。また、生分解性のプラスチックをつくる技術と設備を既に日本の企業は有していると思われる。このように日本企業の有する技術と設備を生かしながら、麻産業を日本に現代的に復活をすることが可能である。
また、大麻から生産をすることができる製品は、紙・建材・燃料・衣類・食料・医薬品など2万5000から5万にものぼるといわれている。麻産業の活性化は、農業の育成と雇用確保にもつながるものである。
第2。大麻取締法の違憲性2
大麻取締法の保護法益が、過去の判例のように「国民の保健衛生」であるとしても、大麻には、刑事罰をもって規制しなければならない有害性がなく、大麻取締法は、憲法(第13条・第14条・第19条・第21条・第25条・第31条・第36条)に各違反する。
大麻には致死量がなく、アルコールやニコチンタバコに比べて心身に対する作用は極めておだやかであり、個人の健康上も格別に害のあるものではない。
犯罪とは人の生命・身体・財産という具体的な保護法益の侵害であるが、大麻取締法違反事件においてこの様な法益侵害はまったくみられないのである。
以下に紹介する大麻の作用に関する権威のある研究報告やアンドリューワイル証言によっても、大麻に刑事罰をもって規制しなければならない程度の作用が無いことが明らかである。
1。大麻の作用に関する研究報告
① ラ・ガーディア報告
一九三八年九月一三日ニューヨーク市における大麻問題について、当時の市長フィヨレロ・ラ・ガー ディアが、ニューヨーク医学アカデミーに対して、ニューヨーク市における大麻問題について科学的、 ならびに社会学的な研究を置くように、要請した。そこで、薬理学・心理学・社会学・生理学などの権 威者たち二〇人が参加して『ラ・ガーディア委員会』が作られ、さらに警官六人が常勤者としてこれを 助けて、系統的な大麻研究がおこなわれた。そして、一九四〇年四月から四一年にかけての研究の結果 が一九四四年に発表された。そこでは、次のような結論が出されている。
1.大麻常用者は、親しみやすくて、社交的な性格であり、攻撃的とか、好戦的には見えないのが普通である。 2.犯罪と大麻使用との間には、直接の相関関係がない。
3.性欲を特別に高めるような興奮作用はない。
4.大麻喫煙を突然中止しても、禁断症状を起こさない。
5.嗜癖を起こす薬ではない。
6.数年に渡って大麻を常用しても、精神的・肉体的に機能が落ちることはない。
(小林司著『心に働く 薬たち』一七二〜一七三頁参照)
② インド大麻薬物委員会報告
1893年から1895年にかけて行なわれたイギリス政府のインド大麻薬物委員会の報告は、全巻、3,698ページからなっており、現在までに行われた大麻の研究の中でも群を抜いて完全で組織的なものである、といわれている。
アメリカ政府の国立精神衛生研究所の主任研究員で臨床医でもあるトッド・ミクリヤ 医学博士は次のように指摘されている(同氏が編集して発行した「MARIJUANA :MEDICAL PAPERS」という題名で1973年ハにOakland,California,USAのMedi-Comp Pressで発行された書物から弁護人の責任で翻訳したものである)。
すなわち、「その内容の稀少性、そして多分その恐るべき膨大な規模のため、同報告の貴重な情報は、この問題に関する現代の文献の中に取入れられていない。これは実に不幸なことだ。というのも、今日アメリカで議論されている大麻に関する論争の多くは、このインド大麻薬物委員会の報告にすでに 記述されているからだ。イギリス人植民地官僚による文書の、時の流れにも色あせない明晰性に驚嘆するとともに、その努力を評価したい。もし現代において、この報告の中で実現されているような厳密さと全般的な客観性の基準に達する諸研究グループが出来るなら、どんなに幸いなことだろう。」
そして、この委員会の報告は、結論として次のように述べている。以下は、ミクリヤ医学博士がまとめられた論文の訳である。
『委員会は、大麻に帰せられる影響に関して、全ての証拠を調べた。その根拠と結論を簡潔に要約するのがいいだろう。時々の適量の大麻使用は有益であるということがはっきりと確証された。しかしこの使用は薬用効果として考えられている。委員会が今、注意を限定しようとしているのは、むしろ大麻の通俗的で一般的な使用である。その効果を、身体的・精神的・または倫理的種類の影響に分けて考察すると便利である。
身体的影響
身体的影響に関して言えば、委員会は、大麻の適量の使用は実際上有害な結果を全く伴わないという 結論に達した。中には特異体質が原因で、適量の使用ですら有害になる例外的なケースもあるかもしれない。恐らく例外的な過敏者の場合、いかなる物の使用も有害でないとはいえないのだ。また特別に厳しい風土や激しい労働と長時間太陽にさらされているような環境においては、人々が有益な効果を大麻の習慣的な適度の使用のためだと考えているケースも数多くあり、この一般の考えが事実に基づいたある根拠を持っていることを示す証拠がある。
一般的に言って委員会の見解では、大麻の適度の使用はどんな種類の身体的な害の原因ともならない。しかし、過度に使用すれば害を生じさせる。他の陶酔物のケースについてと同様、過度の使用は体質を弱める傾向があり、また使用者をより病気にかかりやすくさせる。かなりの証人達によって、大麻が原因だとされている特定の病気についても、過度の使用に よってもぜんそくを生じさせないことがわかった。ただし、前述したように、体質を弱めることによって間接的に赤痢を生じさせるかもしれない。そしてまた、主に煙を吸込む行為によって気管支炎を生じさせうるということもあるかもしれない。
精神的影響
大麻の精神的影響と言われているものに関して、委員会は、大麻の適度の使用は精神に有害な影響を与えないという結論に達した。ただし、特に著しい神経過敏な特異体質のケースでは、適度な使用の場合でも精神的損傷がもたらされることはある。というのは、このようなケースでは、ごくわずかの精神 的刺激や興奮がそのような影響を及ぼすことがあるからだ。しかしこれらの極めて例外的なケースを別にして、大麻の適度な使用は精神的な損傷をもたらさない。これは過度の使用の場合とは異なっている。過度の使用は精神的な不安定の兆しを示し、それを強化する。
倫理的影響
大麻の倫理的影響に関する委員会の見解によると、その適度の使用はいかなる倫理的損傷ももたらさない。使用者の人格に有害な影響を与えると信じるに足る妥当な根拠は存在しない。他方で過度の消費 は、倫理的な弱さや堕落の兆しを示し、強める。
討議
この被験者を全体的に観察してみると、通常これらの薬物の使用は度を過ごすことはなく、極端な使用は比較的少ないということを付け加えておくべきだろう。実際上、適度な使用は有害な結果を生み出すことは全くない。最も例外的な場合を除けば、適度な使用を常習的に続けても悪影響が出るということは認められない。
過度に使用した場合でも、はっきりした悪影響が認められない場合が多くあるが、そうした使用はかなり危険だということをやはり認識すべきだろう。しかし、過度の使用が引き起こす悪影響はほぼ例外なく使用者自身に限られており、社会に対する影響を認識することはほとんどできない。
大麻の影響を観察することがほとんどできなかったということが、今回の調査の最はっきりした特色である。社会の各層から選ばれた人達の多くが大麻の影響を見たことが全くないと証言していること、そうした影響をきちんと説明できるほど記憶がはっきりしている者の数が非常に少ないこと、影響が認められると いわれたケースを調べてみると、直ちにそうでないことが判る場合が非常に多いこと、これらの事実を総合してみると大麻が社会に及ぼす影響はほとんどなかったということを最もはっきりと示している。」
更に、大麻の管理政策のあり方について、次のような、貴重な提言をしている。
『インド大麻薬物委員会は、薬物規制政策における政府の役割に関して、哲学的または倫理的観点からの考察をふまえて、正面から取り組んだ。そして、薬物取締り法は、贅沢取締り法として位置づけられ、その実施の可能性と個人及び社会への影響という観点から考察された。ある著名な歴史家(脚注 :J・A・フロウドの英国史、第二版、第一章五七ページ)は「いかなる法も、一般大衆の実用レベルの上にあっては何ら役にたたず、そうした法律が人間生活の中に入り込めば入り込むほど、違反の機会 が増える」と述べている。こうした表現が封建制度下の英国で真実であるならば、今日の英領インドに おいては更に真実となる。この国の政府は内なる勢力からうまれたものではなく、上から与えられたも のであって、こうした父子主義に基づく政治制度は、世論が形成される過程や国民のニーズが年々はっきりと表されるようになってくると、全く観念的なものになってしまう。父子主義は一六世紀の英国や、インドのある地方における併合直後の初期の開発段階においてはふさわしいものであったといえるだろう。もちろんインドの立法府においても、幼児殺しやヒンズーの寡婦を火あぶりにする習慣に関する法律に見られるように、一般的には受入れられない倫理基準を時として予想することがあっただろう。しかし、こうした法案は、政府の影響力の及ぶ事情において倫理に関する一般の考え方をどうして も変えなければならないという感覚と、時間の経過とともにこうした法案が社会の知識人から同意を得られるという確信から議会を通過してしまった。
ミルはその「政治経済学」の中の一章で不干渉の原則を論じているが、それによると政府の干渉には二つのタイプがあるという。
即ち、権力による干渉と勧告または情報の公表による干渉である。前者のタイプの干渉については、次のような所見が述べられた。即わち、「権力による干渉は、もう一方のそれと比べて合法的行為の範囲が非常に限られていることは、一見して明らかだ。如何なる場合においても、権力による干渉はそれを正当化する必要性が権力によらない干渉に比べより強くあるし、また人間生活においてはそうした干渉を絶対的に排除しなければならないところが多くある。社会の団結に関していかなる理論を取ろうと、またどんな政治制度のもとで生活しようとも、いかなる政府も、それが超人間的存在のものであれ、選ばれた者のものであれ、一般人のものであれ、絶対に踏込んではならない部分が人間一人一人のまわりに存在する。思慮分別ができる年齢に達した人間の生活には、いかなる個人または集団からも支配されない部分がある。人間の自由や尊厳に全然敬意を払わない者が投げかける疑問などを相手にしない部分が人間の存在の中にはあり、またなければならない。要は、どこにそうした制限を置くかということだ。自由に確保されるべき領域は、人間生活のどれほど広い分野を占めるべきなのか。その領域は、個人の内面であれ外面であれ、その人の人生にかかわる全ての分野を含み、個人への影響は、規範や倫理的影響を通してのみにするべきだ、と私は理解している。特に内的意識の領域、つまり思考・感情・ものの善悪・望ましいものと軽蔑するものとに対する価値観に関しては、それを法的強制力か単に事実上の手段によるかは別にして、他者に押し付けない、という原則が大切だと私は思う。そして例外的に他者の内的意識や行動を規制する場合には、立証責任は常に規制を主張する側にある。また個人の自由に法律が介入することを正当化する事実は、単なる推定上のものであってはならない。
自分がやりたいと考えていることが押えられたり、何が望ましいのかという自分の判断と逆の行動をとることを強いられたりすることは、面倒なことだけではなく、人間の肉体または精神の機能の発達を、感覚的あるいは実際的な部分にかかわらず、常に停止させる傾向がある。各個人の良心が法的規制から自由にならなければ、それは多かれすくなかれ奴隷制度への堕落に荷担することになる。絶対に必要なもの以外の規制は、それを正当化することはほとんどない」この言及を長々と引用した理由は、この見解が、政府が大麻薬物を強権をもって禁止すべきか否かを決定するための指導原則をはっきりと説明していると、本委員会が信ずるからである。』
私も、大麻規制のあり方としては、このインド大麻薬物委員会つまり、ミルの見解は、日本国憲法の基本精神と同じであり、それを具体的に表現したのが、第13条の幸福追及権であると考える。なお、インド大麻薬物委員会は、薬物(具体的には、大麻のことであるが)の使用を贅沢と位置付けてい るが、この贅沢という意味は、精神的幸福感という意味である。
したがって、大麻規制のあり方としては、ミルのいう政府の干渉の二つのタイプのうち、強制的な権力による干渉ではなく、勧告または、情報の公開という方法が、日本国憲法の趣旨に合致するのであり、現行の懲役刑という大麻の規制方法は、国民の幸福追求権を否定し、更には、自由な精神のありかたすなわち、思想・良心の自由を否定するものである。
③ WHOのレポート(No.478、1971年)
このレポートは、1970年12月8日から14日まで11人の世界的な専門家が討議のうえ作成したものである。そこでは、大麻の作用について、次のように報告されている。
1.大麻を使っていると、それが飛び石になって、ヘロインその他の薬の中毒に 移っていくという説(踏み石理論)は、確かでない。なお、この踏み石理論は、 アメリカで、禁酒法時代に、アルコールを 取り締まる根拠として、詰まり、ア ルコールが、ヘロインなどの薬物中毒の原因になるとして、主張された理論であ る。
2.奇形の発生はない。
3.凶暴な衝動的行動は、稀である。
4.犯罪と大麻の因果関係は、立証されていない。
5.耐性の上昇、すなわち、同じ効果を得るのに必要な使用量の上昇は、ほとんど 見られない。
6.身体的依存すなわち、その使用を止めると、汗が出るなどの禁断症状はない。
7.多くの常用者には、精神的依存が見られる。しかし、この精神的依存いうことは、例えば、珈琲や煙 草、お酒、さらには、お菓子が好きな人が、また、飮みたいなとか、食べたいなと感じる気持ちのことであって、大麻だけの特徴では ないし、格別、刑事罰を持って規制しなければならない作用ではない。かりに、この精神的依存性が、刑罰を科する根拠にされることがあれば、例えは、ご飯が好きな人は、ご飯に精神的に依存しているということになり、ご飯禁止法を作らなければならないことになってしまうのであり、この考えが、極めて不合理なことは、明らかである。
(『心に働く薬たち』小林司著、筑摩書房発行、180〜181頁参照)
④ 大麻と薬物の乱用に関する全米委員会報告
ニクソン大統領は、1971年に前年に議会を通過した薬物規制法に基づき前ペンシルベニア州知事のロイヤルドシェイファを委員長とする大麻と薬物の乱用に関する委員会を設置した。この委員会は、保守派といわれる13人の委員によって、構成されており、1年に及ぶ調査の後、1972年3月 に『マリファナ:誤解の兆し』と題するレポートを発表し、更に1973年には、最初のレポートと結論を同じくする最終報告を提出した。
この報告の結論であるが、生田典久氏が、ジュリストのNo.654の42〜43頁で、次のように簡潔にまとめられている。
1.大麻には、耽溺性がない。
2.大麻使用と犯罪またはその他の反社会的行動との関連性はない。
3.大麻使用は、ヘロインなど危険な薬物への足掛かりにもならない。
4.長期間の大麻常用者には、ある程度の耐性が生じることがあり得るが、その程度は、煙草以上のものではない。
5.大麻の使用者も大麻自体も公衆の安全に対して、危険な存在を成しているとは いいえない。
2。アンドリュウワイル証言の紹介
大麻に刑事罰を課するほどの有害性がないことは、以下のアンドリュー・ワイル証言からもあきらかである(長吉秀夫著「大麻入門」88〜105頁からの引用)
「1979年京都 アンドリュー・ワイル博士の証言
厳しい取り締りがおこなわれていた1970年代の日本でも、マリファナの存在が認知されると同時に、大麻取締法による検挙者数は増加していった。その数は、1966年には176人だったのに対し、70年には487人、75年には733人、79年には1070名となっている。乾燥大麻や大麻樹脂の押収量も増加している。しかし、アヘンやヘロインなどの麻薬は減少に転じていった。ただし、ヘロインの使用者が減少していたとはいえ、覚せい剤の検挙者は毎年5000人前後であり、年々増加傾向にあった。また、ヒッピーブームの影響により、幻覚剤であるLSDの使用も1972年、73年の2年間に爆発的に増加する。そんな中で、大麻についての情報はマスコミを通して知られていく。それと同時に、大麻の取締りに疑問を呈する人々も現れたのだった。
1977年、京都の芸術家の芥川耿氏が自宅で栽培した大麻を吸引し逮捕された。その裁判において芥川氏は「大麻取締法は憲法違反である」と訴え、法廷闘争へと発展した。毎日新聞などのマスコミや市民運動家など様々な人々を巻き込んだこの裁判は、日本における大麻解禁運動の始まりといってもいいだろう。
一連の裁判の中で、「大麻とは何か」ということを様々な人物が証言している。『ナチュラルマインド』などの多くの著作を持つ医学博士のアンドリュー・ワイル氏も来日し、日本の法廷で証言している。
ハーバード大学民族薬理学の研究員をしていたワイル博士は、1968年にボストン大学医学部でおこなった大麻吸引の臨床実験データをもとに、政府機関などに助言をおこなっていた。その当時に発表されたWHO(世界保健機関)のレポートの内容や、ニクソン大統領の諮問委員会、そしてカリフォルニア州やアイオワやマサチューセッツの州議会に招かれて大麻の医学的な効能についての証言をおこなっている。大麻に対しての博士の見解は中立であり、大麻問題を知る手がかりにもなる。少し抜粋してみよう。
証人尋問調書
昭和54年6月5日第9回公判速記録より
事件番号昭和52年(わ)第1003号
京都地方裁判所 大麻取締法違反事件
裁判長 川口公隆
弁護人 田村公一
弁護人 丸井英弘
証人 アンドリュー・ワイル
通訳人 片桐 譲
(略)
弁護人(田村) 1972年にニクソンの諮問委員会である「マリワナ及び薬物の乱用に関する全国委員会」が研究報告をしておりますが、証人はこの全国委員会から何か意見を求められたことがありますか。
証人 発行されたのが1972年で1970年にその委員会から意見を求められております。
弁護人(田村) 場所はどこですか。
証人 首府のワシントンです。
(略)
弁護人(田村) WHOの報告と、ニクソンの諮問委員会の全国委員会の報告とは、どちらが信用がおけるのでしょうか。
証人 私はニクソン・レポートのほうがいいと思います。何故ならば、それにはマリワナを使った人の実際の経験、証言が集められているからです。
弁護人(田村) WHO報告の問題になっている個所について、正しいかどうかをお聞きしますが、WHOの報告では「大麻を大量に摂取した場合、通例、急性中毒症状がみられる」と報告されているのですが、これは証人から見て、どうでしょうか。
証人 それは可能ではありますが、私自身はほとんどその例を見ておりません。 そしてほかの種類の薬物、例えばアルコールとかアスピリン等に比べて、はるかにそういうことは起こらないと思います。 例えばアメリカ合衆国では、何百人という人が、毎年アスピリンの飲みすぎで死んでおりますが、マリワナの飲みすぎで死んだ人はいません。
弁護人(田村) すると証人自身は、大麻を吸って急性中毒症状がみられたということを見たことはないわけですね。
証人 私自身が見たのは、ハシッシュを食べて、その結果として非常に眠くなって、長いこと寝続けたという人はおりました。これが私の見た最悪の例です。 しかし、タバコの形で吸った場合には、中毒症状を見たことはありません。
弁護人(田村) 証人自身の観察にもとづかなくても、何か信用性のある研究で急性中毒症状がみられたという例はありますか。
証人 マリワナの資料についての問題点というのは、セカンドハンド、人から聞いたということの資料ばかりだということが問題で、特に古い文献資料、1920年代や1930年代のがそうなんです。そのころの資料にはマリワナの飲み過ぎというようなことが言われております。しかし、現在の新しいのには、そういうマリワナのとり過ぎによって起こる急性中毒症状がないということです。それで、これらの古い資料が、何故そういうふうに中毒症状があるということを言い出したかと言うと、多分、医者達は、ほかの薬物と一緒にとった場合のことを見て、そういうふうに思ったんだと思います。
弁護人(田村) すると、WHOの報告は相当古い資料を使っているので、信用性がないということでしょうか。
証人 そうです。
(略)
弁護人(田村) 全国委員会の報告書では、マリワナを中程度吸うと「精神依存が立証される」というふうに報告しておりますが、これについてはどのように思われますか。
証人 「精神依存」と言う言葉がちょっと不明瞭であいまいだとおもいます。 なぜならば、それは我々が気に入らないことを何回も繰り返してする行動に対して名付けるときに使う言葉だと思います。 そしてその繰り返す行為が我々がいやだと思わないことだったら、我々はそれを、「精神依存」とは呼ばないのです。 例えばアメリカや日本にはテレビを見ずには一日も過ごせない人々がたくさんいますが、普通これを「精神依存」と呼ばないのであります。 しかし、ヘロインとかモルヒネのような薬物においては、身体的な依存性が見られます。アルコールでも身体的依存が見られます。 しかし、マリワナの場合は、それを長年間常用しても身体的変化というのは見られません。 ですから、これはテレビを見なければすごせない、という人とどこが違うのでしょう。
(略)
弁護人(丸井) 大麻が有害であるという説の中に「スッテッピング・ストーン理論(踏み石理論)」というものがありますが、これの内容と、これが正しいのかどうかということについて証言してください。
証人 これはマリワナについての古い神話で、何回も繰り返されてきた説だと思います。
この説はマリワナを使っていると、それよりももっと危険な薬物へ行く踏み石になるのではないか、特にヘロインに行かせるのではないかという考えです。 確かにアメリカ合衆国で、ヘロイン常用者に聞きますと、その前にはマリワナを吸っていたという人はいます。 しかし、彼らはそれ以外にも若いときにいろいろなことをやっています。 多くのヘロイン常用者達は、12歳になる前からタバコを吸っていたりします。 そして、みんなヘロインを始める前に、アルコールを飲んでいます。 それに反して、マリワナ常用者の大部分はヘロインに対して何の興味も示しません。 ですから、私はこれは嘘の理論の例だと思います。
弁護人(丸井) 次に「催奇形性」があるというような意見もあるようですが、これについてはどうでしょうか。
証人 私はそれを証明する証拠はないと思います。しかし、それに反して、タバコを吸う女性の場合には、吸わない女性よりも、統計的に奇形児の発生が見られます。 そして、今度、アルコールを飲む女性の場合もより多くの異常児が発生するということがわかってきました。
弁護人(丸井) 大麻を吸うと、人を攻撃的にさせ、暴力犯罪を引き起こすという意見もありますが、この点についてはどうでしょうか。
証人 そのことについて、確かにそう言えるというのはアルコールであります。それに反して、マリワナは人々を静かにし攻撃的でなくします。
(略)
証人 イギリスやアメリカでも、少し、マリワナ使用によってある種の脳の障害が起こったという報告はあります。しかし、これらの報告はマリワナ以外の要素がそこに入っていたんじゃないかという可能性を配慮する努力をしていません。 例えば、過去に何か傷を受けたことがあるかというようなことに対して配慮していないのです。
そして、例えばジャマイカのように非常に多くの人がマリワナを吸っているというところでの統計として、脳障害が起こっているということをいっている者はありません。
弁護人(丸井) 大麻を日常的に使っている社会というかグループで、そういう脳障害が起こるとか暴力犯罪が起こるというようなことが見られますか。
証人 いいえ。
ワイル博士は、医療大麻についても言及する。1970年代の発言であるにも関わらず、この時点ですでに現在実際におこなわれている大麻医療の内容についても博士は明言している。
(略)
弁護人(丸井) 大麻を吸って、何か利益になる、いいことというのはあるのでしょうか。 健康の面、精神的な面において・・・。
証人 はい。まず健康についてですが、マリワナは医学のほうでは非常に長いこと使われてきました。 しかし、今世紀になってから使われなくなったのです。しかし、今また新しくマリワナについての関心が医学会で高まっています。 というのは、それが安全だからです。普通の医療品と比較して安全なのです。 いくつかの点で、現在の医療をしているものを満たすからです。ですから、4つの州では、特定の医療のためには、マリワナを使うことを許しました。 その一つは癌の患者が癌の薬で吐き気を催すのを治すために使うことです。
マリワナはこの目的で非常に効果を発揮します。しかも、それは毒性がありません。
第二には目の病気の緑内障、あるいはそこひに対してですが、この病気は目の中の眼圧が高まって、最後には視力を失うものですが、マリワナはその圧力を減らします。
第三にマリワナは喘息の治療に使われます。第四に、脳性麻痺、特に筋肉の脳性麻痺に対して使われます。脊髄に対する障害、あるいは生まれつきの脳性麻痺に対して使われています。 そして、ここ数年のうちに他の病気の症状に対しても、マリワナが治療に有効であるということが発見されるでしょう。
精神的なよい面について述べますと、それはずっとむずかしい問題です。 それは一人一人によって非常に違うからむずかしいのです。 マリワナは、ある宗教においては長いこと使われたという伝統があります。 特にアジアでは使われてきました。そして多くの人々がマリワナは精神的によい影響を与えたという人がいます。 私が会った多くの人々の中で、マリワナを使ったために瞑想するようになったという人がたくさんいます。しかし、マリワナが精神的なよいことをもたらすというのも間違いだと思います。 それは、マリワナが脳障害を起こしたり、ヘロイン使用に走らせると言うのと同じく間違っています。 マリワナは人々を精神的に助けるという可能性、潜在的力はあると思います。 しかし、これはそれを使う人が適切に積極的に使うかどうか、ということにかかっています。確かに、マリワナをばかな目的で、しかも使い過ぎるということはありうることです。そしてそういうふうにするひとがたくさんいることも事実です。
アンドリュー・ワイル博士は医学博士として大麻やその他の民族に伝わる薬物についても研究を重ねている。アメリカには、政府以外の大学の研究室や市民団体レベルでも様々な検証をおこない、常に連邦政府と意見交換をおこなっている。相変わらず連邦政府は大麻については厳しい姿勢を崩してはいないが、これらの運動を許容しする政府の姿勢は、市民たちの運動と共に評価に値する。
さて、ワイル博士への質問は、大麻取締法の有効性についても言及する。
(略)
弁護人(丸井) 日本では大麻取締法があって、大麻を持っていたり、人にやったりすれば、5年以下の懲役刑というふうになっていますが、この刑事罰でマリワナを禁止すると、何か逆に悪い効果が出るというようなことが言えるのでしょうか。 アメリカなどの経験から見て、どうでしょうか。
証人 第一に、そういう法律は実際には効力がないと思います。
弁護人(丸井) それはどういう意味ですか。
証人 マリワナ関係の法律がアメリカでできてからマリワナ使用率は高まっています。 その一つの理由は、法律があるということで、かえって反抗の形としてマリワナ使用というのが出てきたと言えます。 二番目に、法があることでかえって個人や社会に悪影響があると思います。例えば、マリワナによって起こることで一番悪いことは、刑務所へ入らなければならないということです。しかも、昔から言われていたほどマリワナが危険じゃないということが最近、わかりつつありますので、人々はそのことをきっかけにして、法律とか社会の全体の構造をもう一回見直しつつあるわけです。 ですから、現実を反映しないような法律は、結局は法律体系全般にとって、非常に破壊的な影響を持ってしまうことになります。 そして、アメリカでこれらのマリワナを罰する法律の一番の悪影響は、これらのマリワナ裁判でもって、裁判所を非常に混雑させて、裁判所が動けなくなってしまった、ということであります。 そして、その代わりに、本当に重要な犯罪に目が向かなくなってしまっているということです。
検察官 マリワナを使うことによって「妄想」とか「不安」あるいは「記憶力の減退」「連想の混乱」等が起こりうるということですが、そういう意味で、マリワナはやはり有害であるということになるんじゃないですか。
証人 そういうことはありえます。しかし、現実世界で起こっている他のことのほうが、そういうことをもっとしばしば引き起こすし、もっとそういう実例があると思います。アルコールはごく当たり前に人を殺したり、精神異常にしたり、病気にしたりすることがあります。 どんな薬でも、間違って使ったり、使用しすぎたりすれば、それは危険です。 しかし、現実使われているほかの薬物に比べれば、マリワナはずっと安全だと私は信じます。
検察官 アメリカの法的規則について先程証言されたのですが、アラスカでは自らが使うためならば合法だということですが、アラスカでマリワナが合法でないとされる場合はどういう場合があるのでしょうか。
証人 個人の使用のために使ったり栽培したりすることはいいですが、しかし、法律では量について明記してあります。アラスカでは冬が非常に長いので、人々は非常にたくさんのマリワナを作ることができて、しかもそれは自分の使用のためだと言っております。しかし、売ることは非合法であります。
検察官 アラスカでは、人に販売することはいけない、ということになっているということですね。
証人 はい。
検察官 アラスカ以外の州では、マリワナの使用あるいは所持というものは罰則によって禁止されているということになるわけですね。
証人 州によって罰則が違います。
検察官 罰則が違うというのは、罰則の程度というか、軽い処罰をするというところと、それより若干重い処罰をするところがあるという意味ですか。
証人 例えばカリフォルニアでは、30グラム以下の場合だったら罰金で、しかも罰金がおこなわれない場合もあります。 しかし、ネバダではいかなる量のマリワナでも、所持していたら終身懲役刑というところもあります。
弁護人(丸井) 終身懲役刑になるということですが、アメリカで非常に長期の懲役刑を科するのは個人の幸福追求権とか、プライバシーの権利を侵害するから、憲法違反だという裁判例はあるのでしょうか。
証人 アラスカでは、そういうことでアラスカの最高裁判所でもその判例は支持されております。
弁護人(丸井) それは憲法違反ということですか。
証人 はい。アラスカの最高裁判所では、これらのマリワナ取締法は憲法違反だということを言いました。 その理由は、州政府はマリワナが非常に危険であるということを証明できなかったからです。ですから、これはプライバシーを侵すということで憲法違反であるというふうに考えたわけです。
弁護人(丸井) 具体的に憲法のどういう条項に違反したということですか。
証人 まず、憲法の前文で個人の生命と自由と幸福の追求を書いたところです。それでマリワナを吸っている人は、自分は幸福を追求しているんだ、というふうに言っております。
弁護人(丸井) すると憲法で規定されている幸福追求権からして憲法違反だということになったわけですか。
証人 はい。幸福追求権に反しているということと、もう一つ人権宣言では家宅捜索について、それを禁止しているわけです。政府の側がはっきりした理由を示さずに個人の家を捜索することは憲法の一番最後の人権宣言のところで禁止されているわけです。
弁護人(丸井) 正当な理由がなく家に入って捜索などをした場合は、憲法違反だということになるわけですか。
証人 はい。政府は例えばマリワナは社会にとって危険であるという正当な理由があって家宅捜索をするんだといっていたわけです。ですからこの議論は本当にマリワナが危険であるかどうか、ということの議論でその真偽が出なければならないわけです。そして、アラスカではとにかく政府側はそれが非常に危険であるということを裁判所に対して証明できなかったわけです。
(略)
大麻をヘロインなどと同様の危険な麻薬と誤解している人がこの証言を聞いたら、信じられないほど愚かな証言に感じるだろう。しかし、アメリカでは60年代から現在まで、様々な機関が大麻を研究し続けている。その上で州議会や市民は自己判断をおこなっているのが現実の姿である。しかし、残念ながら日本では過去一度も、大麻の危険性や有効性についての検証はおこなわれていない。
1970年代のアンドリュー・ワイル博士の証言や芥川氏の大麻取締りに対する様々な疑問は、日本の大麻問題を考えるその後の人々に影響を与えていった。 」
3。最高裁判所{最高裁昭和60年(あ)第445号同年9月10日第1小法定決定・裁判集(刑事)240号275頁}は、大麻の有害性を認定しているが、その具体的内容は、自動車運転に対する影響のみである。自動車運転における酒やその他の薬物の規制はすでに道路交通法で規制されており、それ以上に大麻を規制する具体的理由は存在しないものである。
大麻に対する規制は、酒や煙草に対する規制(以下に引用する未成年者飲酒禁止法・酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律や未成年者喫煙禁止法)と同様で十分である。大麻取締法の規制は、これらの酒や煙草に対する規制と比較してあまりにも著しく厳しいものであり、憲法第14条の趣旨にも反するものである。
① 未成年者飲酒禁止法
(大正十一年三月三十日法律第二十号)
最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二条 満二十年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得
第三条 第一条第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
2 第一条第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス
第四条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第一項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同項ノ刑ヲ科ス
① 未成年者喫煙禁止法
(明治三十三年三月七日法律第三十三号)
最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
第二条 前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス
第三条 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス
第四条 煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第五条 満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
第六条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同条ノ刑ヲ科ス
③ 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律第4条(罰則等)1項 では、 「酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」とし、2項では、「 前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。 」と規定している。そして、拘留又は科料の内容としては、刑法第16条・17条で次のように規定している。
(拘留) 第16条 拘留は、一日以上三十日未満とし、拘留場に拘置する。
(科料) 第17条 科料は、千円以上一万円未満とする
第3。大麻取締法の違憲性3(大麻取締法第4条4号・第25条の違憲性について )
大麻取締法第4条4号は、大麻に関する広告を禁じているが、右規定は大麻に関して公に意見を発表することを刑事罰(同法第25条で1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる。)でもって原則的に禁止するものであり、憲法第13条・第19条・第21条に明白に違反する疑いがある。
このような明白な違憲規定を有する大麻取締法は、法律それ自体の保護法益が不明確なことと目的規定を欠いていることとあいまって、大麻取締法全体が違憲と評価されるべきである。
++++++++++++++
憲法(けんぽう)とは国家の組織や統治の基本原理・原則を定める根本規範(法)をいう。近代的な立憲主義においては、憲法の本質は基本的人権の保障にあり、国家権力の行使に枠をはめて、無秩序で恣意的な権利侵害が行われないようにするためのものであるとされる。(「ウィキペデアフリー百科事典」より引用)
第1。大麻取締法の違憲性1
大麻取締法は、社会的必要が無いのに、占領米軍の占領政策として一方的に制定されたものであり、以下に述べる通り、占領後の日本を石油繊維などの石油製品の市場とするために、石油繊維とその市場が競合する大麻繊維の原料となるカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる大麻の栽培を規制したものであるので、憲法第31条の適正手続き条項に反し、また同法第12条の職業選択の自由や同法第13条の幸福追求権に違反する違憲立法である。
1。大麻取締法ではその1条で、「大麻」の定義として、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」と規定しており、現行大麻取締法で規制されている大麻はカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる種のみであり、かつ大麻の薬理成分とされるTHCの含有の有無とは無関係である。なお、1961年の麻薬に関する単一条約(昭和39年12月12日条約第22号)では、第1条定義で「大麻」とは、「名称のいかんを問わず、大麻植物の花叉は果実のついた枝端で樹脂が抽出されていないもの(枝端から離れた種子及び葉を除く。)をいう。」と定義付けされている。
さらに、1961年の麻薬に関する単一条約の28条2項では、「この条約は、もっぱら産業上の目的(繊維及び種子に関する場合に限る)叉は園芸上の目的のための大麻植物の栽培には、通用しない。」とされている。大麻取締法はまさに「産業上の目的(繊維及び種子に関する場合に限る)」の大麻栽培を原則的に禁止しているので、この国際条約28条2項に違反するものである。
大麻とは、日本名でいえば、麻(あさ)のことであり、植物学上はくわ科カンナビス属の植物である。そしてカンナビスには種(しゅ)として、少なくともカンナビス・サティバ・エル、カンナビス・インディカ・ラム、カンナビス・ルーディラリス・ジャニの三種類があることが植物学的に明らかになっている。各名称の最後にあるエルとかラムとかジャニというのはその種を発見、命名した学者の名前の略称であり、サティバは1753に、インディカは1783年に、ルーディラリスは1924年に発見、命名された。いずれも大麻取締法が制定された一九四八年以前のことである。
大麻のうち、(カンナビス・サティバ・エル)と呼ばれる種類は、日本において縄文時代の古来から主に繊維用に使われて来たものであり、特に第2次大戦前は、繊維用などに不可欠な植物として国家がその栽培を奨励したきた植物である。
そして大麻取締法は、この衣類の生産など産業用に栽培されてきた日本人にとって貴重な植物である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)の栽培等を規制した占領米軍による占領立法である。従って、大麻を規制する社会的必要性がまったくなかったので、大麻取締法は、その立法目的を明記していないという法律として異例な形をとっている。占領米軍は、占領後の日本を石油繊維などの石油製品の市場とするために、石油繊維とその市場が競合する大麻繊維の原料となるカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる大麻の栽培を規制したものである。 このような法制定過程そのものに疑問がある大麻取締法は、憲法第31条の適正手続き条項に反し、また同法第12条の職業選択の自由や同法第13条の幸福追求権などに違反する違憲立法であるといわざるを得ないものである。過去の判例は、大麻取締法の立法目的を「国民の保健衛生の保護」としているが、日本において、大麻の栽培使用は縄文時代の古来から行われて来たのであり、大麻取締法制定当時も含めて「国民の保健衛生の保護」上の問題はまったく起こっていなかったであるから、その解釈は間違っているものである。
2。第2次大戦前の日本における大麻の栽培風景は、1929年の第16回二科展に発表された清水登之氏の「大麻収穫」という次の絵のとおりである。清水氏は栃木県出身であり、その絵は1920年代の栃木県鹿沼地方での大麻収穫風景を描いたものである。(「地球維新 vol.2」扉の裏参照)
さらに、昭和12年9月に栃木県で発行された大麻の生産発展を目的にして発行された「大麻の研究」という文献あるが、その45頁で日本における麻の分布図を引用しているがであるが、その内容は次のとおりであり、大麻が日本全国において縄文時代の古来から栽培利用されてきたことは明らかである。なお、「大麻の研究」の末尾で著者(栃木県鹿沼在住)の長谷川氏は次のように述べている。
「斯る折に本書が発刊されこの方面に関心を持つ人達に愛玩吟味されて日本民族性と深い因縁のある大麻に対する認識を新たにし、是が生産発展上に資せられたなら望外の幸と存じます。」「地球維新 vol.2」6〜7頁参照)

大麻の栽培が日本の伝統的な文化財であることは、大分県日田郡大山町小切畑で大麻すなわち麻の栽培をしている矢幡左右見さんが
1996年6月26日、文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けたことからも明らかである。大山町のホーム頁でその記事の要約を次のとおり紹介している。このように、大麻の栽培者が文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けているのであり、大麻すなわち麻を犯罪として取り締まることが不適切であることは、明白である。
『 矢幡さんは、昭和6年に栽培を始め、49年から福岡県久留米市の久留米絣(かすり)技術保存会から正式な依頼を受けて粗苧の製造
を始めました。以来、矢幡さんは毎年、粗苧20Kgを出荷しています。粗苧(あらそ)とは、畑に栽培され、高さ2メートルに成長した麻を夏期(7月中旬頃)に収穫して葉を落とし、約3時間半かけて蒸し、さらにそぎ取った表皮を天日で一日半ほど乾燥
させて、ひも状にしたものです。粗苧は、国の重要無形文化財である「久留米絣」の絣糸の染色の際の防染用材として使われ、久留米絣の絣模様を出すためには欠かせないものです。しかし、栽培・管理の手間に比べて利益率が低いことから生産者は減少の一途をたどり、
現在では矢幡さん一家を残すのみとなりました。 久留米絣の模様は粗苧なしではできないといわれており、粗苧が無形文化財の保存・伝承に欠く ことのできないものであるということから、今回の認定になりました。矢幡さんは、「ただ、自然にやってきたこと
だけなのに、とても名誉なことです。」と話しています。』
また、「麻 大いなる繊維」と題する栃木県博物館1999年第65回企画展(平成11年8月1日ー10月24日)の資料集では、次のあいさつを紹介している。
「ごあいさつ
麻は中央アジア原産といわれ、わが国への渡来も古く、古代より栽培されています。表皮を剥いで得られる繊維は、他の繊維に比べ強靱で、肌ざわりがよく、木綿や羊毛、化学繊維が登場するめで、衣服や漁網、下駄の鼻緒の芯縄、各種縄などに用いられてきました。その一方では麻は特別や儀礼や信仰の用具に用いられ、現在でも結納の品や神社の神事には欠かせない存在となっています。麻は実用のみならず信仰・儀礼ともかかわる、まさに大いなる繊維でした。
ここでは、質量とも日本一の「野州麻」の産地である足尾山麓一帯で使用された麻の栽培・生産用具、麻の製品、ならびに東北地方の一部で使用された麻織物に関する用具や麻織物を展示するものです。
麻がどのように生み出され、利用されてきたか、大いなる繊維「麻」について再認識していただければ幸いです。
おわりに、本企画展の開催にあたり、御指導御協力をいただきました皆様にこころより、御礼申し上げます。
平成11年8月1日 栃木県立博物館館長 石川格 」
そして、表紙の2頁目では、次の鹿沼市立北小学校校歌が紹介されているが、このような麻が第2次大戦後の占領米軍による占領政策でもって犯罪視されてしまったのである。
「 鹿沼の里に もえいでし
正しき直き 麻のこと
世の人ぐさの 鏡とも
いざ 伸びゆかん ひとすじに 」
(「地球維新 vol.2」213〜217頁参照)
3。大麻草は日本の国草である。
大麻草とは、縄文時代の古来より衣料用・食料用・紙用・住居用・燃料用・医療用・祭事用・神事用に使われ、日本人に親しまれてきた麻のことであり、第二次大戦前はその栽培が国家によって奨励されてきた重要な植物である。このように大麻草は精神的にも物質的にも、日本人のシンボルともいえる植物であり、桜が日本の国花とするならば、大麻草は日本の国草である。
第2次大戦前の日本人の生活、特に明治以前の生活では、生まれる時のへその緒は麻糸で切り、赤ちゃんの時は麻のように丈夫にすくすく育つようにとの親の願いから麻の葉模様の産着で育てられ、結婚式では夫婦が末永く仲良く幸せであることを願って夫婦の髪を麻糸で結ぶ儀式をしていたのである。そして、葬式で着る衣は麻衣であった。日常生活では、麻の鼻緒で作った下駄を履き、麻布でできた着物ーなお、下着は褌であり江戸時代以前は麻布が使われ、成人式の記念に親から褌祝いとして麻褌が与えられたようであるーを身に付け、麻の茎の入った壁や天井に囲まれた家に住み、麻糸で作った畳の上で過ごし、夏は麻糸で作った蚊帳で休んでいたのである。また、麻の油は食用や灯油として活用された。また、麻糸は漁業用の網としても多く使われたが、凧糸や弓の弦としても使われたのである。麻の茎も炭にして、花火の原料としても使われた。
このように、大麻草すなわち麻は、伝統的な日本人の生活にとって必要不可欠な植物であったのである。そして、伊勢神宮のお札のことを神宮大麻というが、大麻とは天照大神——つまり太陽——の御印とされており、結局のところ、日の丸とは太陽のことであるから大麻は日の丸のつまり日本人の象徴ともいえるのである。なお、大麻は神道においては、罪穢れを祓うものとされており、大和魂ともいわれている。
大麻が方除・厄除・開運の神様として祀られている四国徳島県大麻町にある阿波一宮 大麻比古神社 の御神体である「大麻さま」を現した「お起上りだるま」の次のような口上からも明なように、大麻草は、有害なものとして取り締まる植物ではなく、逆に有益かつ神聖な植物である。
口上
「大麻さま」は方除・厄除・開運の神様であります。不浄、悪魔祓をして新しい元気をとり戻して再び起上るしるしとして古くから参拝者に授与しているのがこの「お起上りだるま」であります。
阿波一宮 大麻比古神社
ところが、第二次大戦後のアメリカによる対日占領政策で、大麻草の栽培が一方的に規制された。占領政策の目的は、日本古来の文化を否定し、アメリカに従属する産業社会を作ることにあったと思われる。
日本人にとって罪・穢れを祓うものとされてきた大麻草を犯罪として規制することは、大麻草に対する従来の価値観の完全なる否定である。また大麻草は、自給自足型・環境保全型の社会にとって極めて有用な素材であり、これを規制し石油系の資材に頼る産業構造にすることは、アメリカに経済的にも従属する産業構造への転換を意味していたと思う。
日本は、明治維新によって近代化の道を歩んだが、特に第二次世界大戦後は、戦後生活の建て直しということもあり、物中心の競争原理に立った経済活動を優先してきた。また、生活習慣も、例えば、食生活が米からパンに変わり、畳の生活も椅子の生活に、薬の分野でもいわゆる化学的合成薬が取り入れられ、従来の東洋医学は軽視されてきたのである。大麻草は薬用としても何千年も使用され、日本薬局方にも当初から有用な薬として登載されていたにもかかわらず、大麻取締法の施行に伴って薬局方から除外されてしまった。
日本人の伝統の中には、自然を聖なるものとして大切にしてきたものがあった。しかし経済復興の名のもとに、例えば原子力開発や大規模ダムの建設等自然生態系とそこに住む人々の生活を破壊する経済開発が国策として進められてきたために、川や海、そして大気は汚染されてしまったのである。大麻取締法は、日本人にとって、大自然のシンボルであり罪・穢れを祓うものとされてきた国草ともいえる大麻草を、聖なるものから犯罪にし、さらに大麻草の持つ産業用や医療用の有効利用を妨げているのである。
4。米軍による軍事占領下の1948年(昭和23年)7月10日に大麻取締法が制定されてからすでに62年が経過した。そして、1950年に日本全国で25118名いた大麻栽培者は、2006年には61名まで減少してしまった。この減少した理由は、毎年の免許更新手続きが面倒な大麻取締法による規制のためと安価で大量に生産できる石油化学繊維の台頭によって麻製品の市場がなくなったことによると思われる。
しかしながら、大麻には、次のような有益性があるのであるから(逆に大麻にはこのような有益性があるから、日本をアメリカ系の石油系産業の市場とするために占領政策として大麻産業を規制したのが大麻取締法である)、占領政策である大麻取締法の当否を根本からみなおすべき時期に来ていると考える。
5。大麻の有益性 (「地球維新 vol.2」8〜11頁、189〜195頁参照)
大麻は、刑事罰で取り締まる必要がないものであるばかりか、紙用・繊維用・燃料用・食用・薬用等人類にとって貴重なる植物である。
第二次大戦後、日本で大麻取締法の制定を強行したアメリカを初めオランダ、ドイツ、スイス、カナダ、オーストラリアなどでは大麻を地球環境保護の立場から見直す動きがでているが、大麻には次のような有益性があると指摘されている。なお、アメリカでは建国当時は大麻の栽培を奨励したのであるが、1930年代になって石油系の化学繊維が開発され、大麻とその市場が競合することが大麻の禁止をした社会的背景である思われる。
①大麻から繊維がとれかつ土壌を改良する働きがある
大麻は栽培密度と収穫時期を調節することにより、絹に近い繊細な衣類や船や工場で使うロープまで、さまざまな品質の製品が作られる。しかも大麻の栽培には化学肥料が不要で、熱帯から寒冷地、沼沢から乾燥地帯まで多様な気候・土地条件のもとで育ち、かつ大麻の根の働きによって土壌自体を改良する働きがある。
②大麻から紙や建築用材、さらには土壌分解可能なプラスチック等ができる。
森林は人類に酸素を供給してくれるなど貴重な資源であるが、日本を始め先進国が紙や建築資材にするために森林の大規模な伐採を行なっており、地球環境の破壊が日々進行している。
大麻は一年草であり数カ月という短期間で成長し、その茎は紙の材料になったり建築用の合板に加工でき、さらには土壌に分解可能なプラスチックも出来るため、大切な森林を守ることが出来、またゴミ問題の解決に役立つものである。「独立
宣言」を起草したアメリカ初代大統領のトーマス・ジェファーソンは、自分の農場で大麻を栽培し、製紙工場も持っていた。また、「独立宣言」の起草文は、大麻から作られた紙に書かれて、アメリカの国旗や紙幣までも大麻から作られたとのことである。なお、中国にある仏教の教典も大麻の紙から出来ているとのことでる。また、1940年代にはフオード社が大麻の繊維分を使って鉄よりも軽くてかつ丈夫な車体の製作に成功している程である。
③大麻から燃料ができる
大麻の茎や葉を発酵させることにより、燃料(エタノール)が出来る。また、大麻の種にもオイル分が含まれている。地球の温暖化は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)が放出する二酸化炭素が大気中に蓄積していくために生じる。しかし、大麻を燃料用に栽培すれば、成育途中で光合成により二酸化炭素を酸素に変えるので、地球の温暖化を防ぐことが出来る。
④麻の種の有効利用
麻の有効利用のなかで極めて注目すべきものが、種の有効利用である。この種の有効利用については、日本ではほとんど注目されていないが、医療用・食用・燃料用など多目的に利用することができるので、今後その有効利用について調査・研究・開発をする価値が大いにあると思われる。そして、大麻はどこにでも生えるので、地球規模で生じると予想される食料不足を解決する可能性がある。
1)麻の種の成分の分析
(オランダ アムステルダムにあるGREEN LANDS という麻製品を取り扱っている店が発行している資料に基づいてまとめた。この資料は、ハンガリーのブタペスト大学の調査を参考にしています。)
蛋白質 約23%
油分 34% (この油分には、人間にとって必要な必須脂肪酸であるリノール酸とαーリノレイ酸が3対1という理想的な割合で含まれている。)
繊維質 20%
栄養素としては
ビタミンB1.2.3.6,E,C
カルシウム
2)用途
⒈種は、中国では5穀の一つに数えられているように、有用な食料である。
⒉種に含まれる油分は燃料になる。
⒊種に含まれる油分は、皮膚の健康によく、アトピー性皮膚炎や火傷、花粉症などにも有効といわれている。
また、種自体、便秘などの胃腸薬として市販されているし、七味とうがらしの中にも入っているのである。
⑤大麻から医薬品ができる。
古代から人類は、大麻を安全な医薬品として使用してきた。喘息、緑内障、てんかん、食欲減退、憂鬱などに効果があるほか、ストレスの解消にもなる。日本でも印度大麻煙草が、喘息の薬として、明治以降第二次大戦後まで市販されてきたが、格別の副作用や弊害は何ら報告されていない。
小林司氏は別添『心にはたらく薬たち』一九二頁〜一九三頁の中で大麻の治療効果について次の様に 述べている。
「一八九五年(明治二八年)一二月一七日の毎日新聞にはこんな広告がのっている。『ぜんそくたばこ印度大麻煙草』として『本剤はぜんそくを発したる時軽症は一本、重症は二本を常の 煙草の如く吸ときは即時に全治し毫も身体に害なく抑も喘息を医するの療法に就て此煙剤の特効且つ適切は既に欧亜医学士諸大家の確論なり。』
日本薬局方にも印度大麻として載っていたくらいだから薬効があると考えられていたに違いないが、大麻は本当に薬効をもっているのだろうか。
一九七四年には、フレデリック・ブラントンが大麻を使って眼内圧を下げ、緑内障の治療をした。二年後には、ミシシッピー大学でも、緑内障に有効なことが確認され、フロリダ、ニューメキシコ、ハワイ、インディアナとイリノイの各州では、マリウァナを医学に使うことが合法化された。また、その後ガンに対する化学療法に伴う副作用としての嘔吐を抑えるために、大麻が一番有効なことが確認されている。
米国保健・教育・福祉省の『マリウァナと健康』第五リポート(一九七六年)によると、マリウァナは、眼内圧降下、気管支拡張、抗けいれん、腫瘍抑制(抗ガン作用など)、鎮静睡眠、鎮痛、麻酔前処置、抗うつ、抗吐、などの作用をもっており、アルコールや薬物依存の治療などに有効だ、という。 アルコール依存に効くのは、マリウァナがストレスを減らし、怒りにくくするかららしい。
もっとも古い精神薬の一つであるマリウァナが世界中に広まり、禁止される一方では、二億人もの人たちが毎日喫煙しているという歴史と現状とを私たちは見てきた。その薬理学的特性は一九七〇年代末になってやっと明確になった。その毒性は使用量と関係があるようだ。量が過ぎれば、酒でも睡眠薬で もスパイスでも毒になる。マリウァナの有毒性でなしに有益な点を明らかにして、プラスの面を活用するのが賢明な道というべきであろう。」
前述したハーバード大学医学部精神医学科のレスター・グリンスプーン氏もその著「マリファナ」『別冊サイエンス心理学特集不安の分析』の中で次の様に述べている。
「カンナビス・サテバは繊維原料として、土人が宗教的儀式に使う薬として、そしてインドでは特に薬剤として用いられ始めてから長い歴史を持つ。一九世紀に西洋では、さまざまな種類の病気や不快感、たとえばセキ、疲れ、リューマチ、ぜんそく、振戦譫妄(しんせんせんもう=ふるえや妄想)、偏頭痛、生理痛などに広くこの薬物が処方された。」
厚生省薬務局麻薬課発行の『大麻』57・58頁でも次の様に述べている。
「大麻が医薬品として使用された歴史は古く、中国では紀元前二〇〇〇年代に鎮静剤として使われていたようである。また、紀元後二〇〇年頃にも中国の魏で大麻を配伍した全身麻酔剤が使用されていたとの記録がある。
インドにおいても一〇〇〇年も前から、大麻が医薬品として使われていた。即ち”アユルベダ”と呼ばれるインド古来の医薬品体系や”Unami”と呼ばれるアラビア(回教徒社会)から伝来した医薬品体系において、不眠症、神経過敏症、消化不良、下痢、赤痢、神経痛、神経炎、リューマチ、フケ、痔、らい病、便泌等に使われていた。また催淫剤としても用いられていた。アルゼンチンでは破傷風うつ病、疝痛、淋病、肺結核、喘息等の万能薬として、ブラジルでは、鎮静、催眠剤、喘息薬として、またアフリカでは土着民の間で炎症、赤痢、マラリヤ等に用いられていた。欧米に目を転じてみると、イギリスにおいては、一八〇〇年代にインドで生活したことのあるO’shaugnessyが、心身の苦悩の治療や疼痛、筋肉痙れん、破傷風、狂犬病、リューマチ、てんかんに使用しているし、アメリカでも一八〇〇年代に破傷風から肺結核までの万能薬として使われていた。」
「わが国においても、大麻の医薬品としての応用について記した幾つかの文献がある。
一五九〇年に中国の李時珍により編さんされた『本草網目』(一八九二種の医薬品が収載されている)がわが国にも伝えられている。同書には、”麻仁酒”と云う医薬品が紹介されている。その効能、用法は『骨髄、風毒痛にして、動くこと能ざるものを治す、大麻子の仁を取り、沙香袋に盛り酒を浸してこれを飲む』と説明されている。」
「近代に入ると『万病治療皇漢薬草図鑑』に大麻を煙草に混じて吸うとぜんそくに効果があり、また便泌、月経不順によいと記されている」
⑥大麻繊維には免疫力を上げ、電磁波の悪影響を防ぐ効果があるとの見解がある
萩原弘通氏著の『免疫力を上げる生活』(株式会社サンロード社刊)293頁〜297頁では「絹・麻 と和紙で身を守る」と題し、次のとおりの指摘がなされている。
「私は、悪い電磁波を防ぐ物質は、かねて金属よりも絹、麻といった古来の繊維にあるのではないか、そして和紙も同様ではないかと想定していました。その理由は、絹の場合、桑(桑の有効性はもっと研究され、認識されるべきです)を食べたカイコが、マユを作って中でサナギ時代は全く自分で行動することができません。動けないさなぎの安全をはかるため、口から出すマユ糸にはかれらの免疫力が与えられていると思われます。そのあたりに悪い電磁波に対抗できる何かがあるのではないかという想定です。
麻はもっと理由がはっきりしています。ただの繊維ではなく、邪気を払い除ける祓(はら)いの用具として発達し、古代の昔から神事をつかさどる忌部(いむべ)|後に斎部|が栽培、加工してきました。ご弊(へい)は和紙で作りますが、それ以前は麻の繊維を束ねていたことでしょう。また神聖な場所は必ず麻縄で囲って外部と遮断しました。ビニールではいけないのです。忌部は阿波国で式内社・大麻比古神社を中心に吉野川流域に発展し、紀州から伊勢、遠江、駿河と東進します。おそらく一〜二世紀前後でしょう。伊豆で三島大社の祭神と婚姻関係を結び、伊豆七島から安房へ上陸して安房神社をつくりました。神道における祓いとは、心身にまとわりつく邪気(けがれ)を取り除く儀礼ですが、今日の人の目に見えない邪気の中にはいろいろあって、良くない霊魂(霊的エネルギー)、邪念(念波の中の邪悪なものでこれも微弱エネルギー)からも防御しようとしました。忌部たちはやがて麻作りから発展したであろう和紙の製造を担当することになります。麻を紙におきかえるようになったことは、和紙にも麻同様の力(ここでは祓いの用具としての実行性)がある事を認識したからだと思われます。江本勝氏によって『恨み』というメンタル波動は、肉体的には腸と皮膚波動と100%共鳴同調するとともに、神経細胞がいかれるだけでなく『超短波』波動を呼び込む事がわかりました。その逆もありえるわけで『超短波』波動の障害を受けていると『恨み』を受け止めてしまうわけです。そうした『超短波』『電磁波』波動を麻、和紙には防御する力がありそうだ、と私は推測したきたのです。この想定が正しければ、コピー機の周囲を麻でくくってしまうことが、〆縄で神聖な場所を囲う事と同じ論理が成立するかもしれません。」
「和紙などは、むしろ私たちの免疫力を上げる機能さえ持っています。和紙の原料は楮(こうぞ)、ミツマタ、雁皮などで、これにマニラ麻、桑皮、麻ぼろ、木材パルプなどを加えて、古来の手すき法で作っていますが、このなかで(未分析ですが)楮(こうぞ)の波動が良いのではないかと推定しています。前に、エジプト原産のモロヘイヤの波動について述べましたが、すばらしい波動をもっていました。モロヘイヤは麻の一種です。あの繊維で紙を作る構想もあると聞いています。完成したら、その波動を調べてみたいものです。こうした事から、技術者は一笑に付すことなく、日本古来の天然繊維を使って、いい電磁波防御服を作ってもらいたいものです。そして、日本の家屋が障子やふすま、つまり和紙で仕切られていることが、寒さを防ぎ風をさえぎっているばかりではない事を再認識したいものです。」
⑦バイオマスエネルギーにおける大麻の有用性
人類が排出する温室効果ガスによる地球温暖化問題は、最も深刻な環境問題をいわれている。そして、温室効果ガスの中でCO2は最も大きな影響力を有しその排出量の7割以上は化石燃料の燃焼に起因すると考えられている。したがって、地球温暖化を抑止するためには、エネルギーシステムからのCO2排出量の大幅は削減が必要である。そして、バイオマスは生育過程においてCO2を吸収するので、燃焼に伴うCO2排出量はゼロとみなすことができるのである。
バイオマスは、植物が光合成によって、太陽光と二酸化炭素から作り出したものであるが、植物が一年間に地球上で成長した量、すなわち一次生産量は、石油換算で約800億トンに相当し、全世界で消費しているエネルギーの約8倍に相当するといわれている。
大麻は、その生育期間が約100日であり、他方木材の場合にはその生育期間が50年から100年(短期サイクルのハイブリッド・ポプラでもその生育期間は5年である)であるので、大麻をバイオマスエネルギーとして使えば、木材よりはるかに有利にバイオマスとして利用できる。また、バイオマスのために植林をすれば、食料生産のための農地が減少することが考えられるが、大麻の場合には、その種が有用な食料源になるので、そのようなことはない。逆に、麻の生産は、バイオマスエネルギーと食料が同時に生産されるという有利さがある。
また、大麻の種に含まれている有用な成分の利用や茎に含まれているセルロースの有効利用は、人類の健康とゴミ問題の解決ためにも極めて大切である。
⑧麻産業の重要性
日本における環境問題・食料問題・エネルギー問題・雇用問題に対する今後の課題としては、環境循環型で自給自足を目指した経済・エネルギー政策の確立が必要である。
そのためには、現在の環境破壊型の産業構造を転換する必要がある。具体的には、農業・漁業・林業など自然生態系に即した産業の現代的回復が必要である。その中で紙・建材・生分解性のプラスチック・食料・エネルギー・医薬品などを生産できる麻産業の果たす役割は、極めて大きい。日本では例えば、製紙会社は木材パルプから紙を生産しているが、その既存の技術と設備を生かして麻パルプから紙を生産することが可能である。また、生分解性のプラスチックをつくる技術と設備を既に日本の企業は有していると思われる。このように日本企業の有する技術と設備を生かしながら、麻産業を日本に現代的に復活をすることが可能である。
また、大麻から生産をすることができる製品は、紙・建材・燃料・衣類・食料・医薬品など2万5000から5万にものぼるといわれている。麻産業の活性化は、農業の育成と雇用確保にもつながるものである。
第2。大麻取締法の違憲性2
以下に紹介する大麻の作用に関する権威のある研究報告やアンドリューワイル証言によっても、大麻に刑事罰をもって規制しなければならない程度の作用が無いことが明らかである。(「地球維新 vol.2」198〜210頁参照)
1。大麻の作用に関する研究報告
① ラ・ガーディア報告
一九三八年九月一三日ニューヨーク市における大麻問題について、当時の市長フィヨレロ・ラ・ガー ディアが、ニューヨーク医学アカデミーに対して、ニューヨーク市における大麻問題について科学的、 ならびに社会学的な研究を置くように、要請した。そこで、薬理学・心理学・社会学・生理学などの権 威者たち二〇人が参加して『ラ・ガーディア委員会』が作られ、さらに警官六人が常勤者としてこれを 助けて、系統的な大麻研究がおこなわれた。そして、一九四〇年四月から四一年にかけての研究の結果 が一九四四年に発表された。そこでは、次のような結論が出されている。
1.大麻常用者は、親しみやすくて、社交的な性格であり、攻撃的とか、好戦的には見えないのが普通である。 2.犯罪と大麻使用との間には、直接の相関関係がない。
3.性欲を特別に高めるような興奮作用はない。
4.大麻喫煙を突然中止しても、禁断症状を起こさない。
5.嗜癖を起こす薬ではない。
6.数年に渡って大麻を常用しても、精神的・肉体的に機能が落ちることはない。
(小林司著『心に働く 薬たち』一七二〜一七三頁参照)
② インド大麻薬物委員会報告
1893年から1895年にかけて行なわれたイギリス政府のインド大麻薬物委員会の報告は、全巻、3,698ページからなっており、現在までに行われた大麻の研究の中でも群を抜いて完全で組織的なものである、といわれている。
アメリカ政府の国立精神衛生研究所の主任研究員で臨床医でもあるトッド・ミクリヤ 医学博士は次のように指摘されている(同氏が編集して発行した「MARIJUANA
:MEDICAL PAPERS」という題名で1973年ハにOakland,California,USAのMedi-Comp Pressで発行された書物から弁護人の責任で翻訳したものである)。
すなわち、「その内容の稀少性、そして多分その恐るべき膨大な規模のため、同報告の貴重な情報は、この問題に関する現代の文献の中に取入れられていない。これは実に不幸なことだ。というのも、今日アメリカで議論されている大麻に関する論争の多くは、このインド大麻薬物委員会の報告にすでに 記述されているからだ。イギリス人植民地官僚による文書の、時の流れにも色あせない明晰性に驚嘆するとともに、その努力を評価したい。もし現代において、この報告の中で実現されているような厳密さと全般的な客観性の基準に達する諸研究グループが出来るなら、どんなに幸いなことだろう。」
そして、この委員会の報告は、結論として次のように述べている。以下は、ミクリヤ医学博士がまとめられた論文の訳である。
『委員会は、大麻に帰せられる影響に関して、全ての証拠を調べた。その根拠と結論を簡潔に要約するのがいいだろう。時々の適量の大麻使用は有益であるということがはっきりと確証された。しかしこの使用は薬用効果として考えられている。委員会が今、注意を限定しようとしているのは、むしろ大麻の通俗的で一般的な使用である。その効果を、身体的・精神的・または倫理的種類の影響に分けて考察すると便利である。
身体的影響
身体的影響に関して言えば、委員会は、大麻の適量の使用は実際上有害な結果を全く伴わないという 結論に達した。中には特異体質が原因で、適量の使用ですら有害になる例外的なケースもあるかもしれない。恐らく例外的な過敏者の場合、いかなる物の使用も有害でないとはいえないのだ。また特別に厳しい風土や激しい労働と長時間太陽にさらされているような環境においては、人々が有益な効果を大麻の習慣的な適度の使用のためだと考えているケースも数多くあり、この一般の考えが事実に基づいたある根拠を持っていることを示す証拠がある。
一般的に言って委員会の見解では、大麻の適度の使用はどんな種類の身体的な害の原因ともならない。しかし、過度に使用すれば害を生じさせる。他の陶酔物のケースについてと同様、過度の使用は体質を弱める傾向があり、また使用者をより病気にかかりやすくさせる。かなりの証人達によって、大麻が原因だとされている特定の病気についても、過度の使用に よってもぜんそくを生じさせないことがわかった。ただし、前述したように、体質を弱めることによって間接的に赤痢を生じさせるかもしれない。そしてまた、主に煙を吸込む行為によって気管支炎を生じさせうるということもあるかもしれない。
精神的影響
大麻の精神的影響と言われているものに関して、委員会は、大麻の適度の使用は精神に有害な影響を与えないという結論に達した。ただし、特に著しい神経過敏な特異体質のケースでは、適度な使用の場合でも精神的損傷がもたらされることはある。というのは、このようなケースでは、ごくわずかの精神 的刺激や興奮がそのような影響を及ぼすことがあるからだ。しかしこれらの極めて例外的なケースを別にして、大麻の適度な使用は精神的な損傷をもたらさない。これは過度の使用の場合とは異なっている。過度の使用は精神的な不安定の兆しを示し、それを強化する。
倫理的影響
大麻の倫理的影響に関する委員会の見解によると、その適度の使用はいかなる倫理的損傷ももたらさない。使用者の人格に有害な影響を与えると信じるに足る妥当な根拠は存在しない。他方で過度の消費 は、倫理的な弱さや堕落の兆しを示し、強める。
討議
この被験者を全体的に観察してみると、通常これらの薬物の使用は度を過ごすことはなく、極端な使用は比較的少ないということを付け加えておくべきだろう。実際上、適度な使用は有害な結果を生み出すことは全くない。最も例外的な場合を除けば、適度な使用を常習的に続けても悪影響が出るということは認められない。
過度に使用した場合でも、はっきりした悪影響が認められない場合が多くあるが、そうした使用はかなり危険だということをやはり認識すべきだろう。しかし、過度の使用が引き起こす悪影響はほぼ例外なく使用者自身に限られており、社会に対する影響を認識することはほとんどできない。
大麻の影響を観察することがほとんどできなかったということが、今回の調査の最はっきりした特色である。社会の各層から選ばれた人達の多くが大麻の影響を見たことが全くないと証言していること、そうした影響をきちんと説明できるほど記憶がはっきりしている者の数が非常に少ないこと、影響が認められると いわれたケースを調べてみると、直ちにそうでないことが判る場合が非常に多いこと、これらの事実を総合してみると大麻が社会に及ぼす影響はほとんどなかったということを最もはっきりと示している。」
更に、大麻の管理政策のあり方について、次のような、貴重な提言をしている。
『インド大麻薬物委員会は、薬物規制政策における政府の役割に関して、哲学的または倫理的観点からの考察をふまえて、正面から取り組んだ。そして、薬物取締り法は、贅沢取締り法として位置づけられ、その実施の可能性と個人及び社会への影響という観点から考察された。ある著名な歴史家(脚注 :J・A・フロウドの英国史、第二版、第一章五七ページ)は「いかなる法も、一般大衆の実用レベルの上にあっては何ら役にたたず、そうした法律が人間生活の中に入り込めば入り込むほど、違反の機会 が増える」と述べている。こうした表現が封建制度下の英国で真実であるならば、今日の英領インドに おいては更に真実となる。この国の政府は内なる勢力からうまれたものではなく、上から与えられたも のであって、こうした父子主義に基づく政治制度は、世論が形成される過程や国民のニーズが年々はっきりと表されるようになってくると、全く観念的なものになってしまう。父子主義は一六世紀の英国や、インドのある地方における併合直後の初期の開発段階においてはふさわしいものであったといえるだろう。もちろんインドの立法府においても、幼児殺しやヒンズーの寡婦を火あぶりにする習慣に関する法律に見られるように、一般的には受入れられない倫理基準を時として予想することがあっただろう。しかし、こうした法案は、政府の影響力の及ぶ事情において倫理に関する一般の考え方をどうして も変えなければならないという感覚と、時間の経過とともにこうした法案が社会の知識人から同意を得られるという確信から議会を通過してしまった。
ミルはその「政治経済学」の中の一章で不干渉の原則を論じているが、それによると政府の干渉には二つのタイプがあるという。
即ち、権力による干渉と勧告または情報の公表による干渉である。前者のタイプの干渉については、次のような所見が述べられた。即わち、「権力による干渉は、もう一方のそれと比べて合法的行為の範囲が非常に限られていることは、一見して明らかだ。如何なる場合においても、権力による干渉はそれを正当化する必要性が権力によらない干渉に比べより強くあるし、また人間生活においてはそうした干渉を絶対的に排除しなければならないところが多くある。社会の団結に関していかなる理論を取ろうと、またどんな政治制度のもとで生活しようとも、いかなる政府も、それが超人間的存在のものであれ、選ばれた者のものであれ、一般人のものであれ、絶対に踏込んではならない部分が人間一人一人のまわりに存在する。思慮分別ができる年齢に達した人間の生活には、いかなる個人または集団からも支配されない部分がある。人間の自由や尊厳に全然敬意を払わない者が投げかける疑問などを相手にしない部分が人間の存在の中にはあり、またなければならない。要は、どこにそうした制限を置くかということだ。自由に確保されるべき領域は、人間生活のどれほど広い分野を占めるべきなのか。その領域は、個人の内面であれ外面であれ、その人の人生にかかわる全ての分野を含み、個人への影響は、規範や倫理的影響を通してのみにするべきだ、と私は理解している。特に内的意識の領域、つまり思考・感情・ものの善悪・望ましいものと軽蔑するものとに対する価値観に関しては、それを法的強制力か単に事実上の手段によるかは別にして、他者に押し付けない、という原則が大切だと私は思う。そして例外的に他者の内的意識や行動を規制する場合には、立証責任は常に規制を主張する側にある。また個人の自由に法律が介入することを正当化する事実は、単なる推定上のものであってはならない。
自分がやりたいと考えていることが押えられたり、何が望ましいのかという自分の判断と逆の行動をとることを強いられたりすることは、面倒なことだけではなく、人間の肉体または精神の機能の発達を、感覚的あるいは実際的な部分にかかわらず、常に停止させる傾向がある。各個人の良心が法的規制から自由にならなければ、それは多かれすくなかれ奴隷制度への堕落に荷担することになる。絶対に必要なもの以外の規制は、それを正当化することはほとんどない」この言及を長々と引用した理由は、この見解が、政府が大麻薬物を強権をもって禁止すべきか否かを決定するための指導原則をはっきりと説明していると、本委員会が信ずるからである。』
私も、大麻規制のあり方としては、このインド大麻薬物委員会つまり、ミルの見解は、日本国憲法の基本精神と同じであり、それを具体的に表現したのが、第13条の幸福追及権であると考える。なお、インド大麻薬物委員会は、薬物(具体的には、大麻のことであるが)の使用を贅沢と位置付けてい るが、この贅沢という意味は、精神的幸福感という意味である。
したがって、大麻規制のあり方としては、ミルのいう政府の干渉の二つのタイプのうち、強制的な権力による干渉ではなく、勧告または、情報の公開という方法が、日本国憲法の趣旨に合致するのであり、現行の懲役刑という大麻の規制方法は、国民の幸福追求権を否定し、更には、自由な精神のありかたすなわち、思想・良心の自由を否定するものである。
③ WHOのレポート(No.478、1971年)
このレポートは、1970年12月8日から14日まで11人の世界的な専門家が討議のうえ作成したものである。そこでは、大麻の作用について、次のように報告されている。
1.大麻を使っていると、それが飛び石になって、ヘロインその他の薬の中毒に 移っていくという説(踏み石理論)は、確かでない。なお、この踏み石理論は、 アメリカで、禁酒法時代に、アルコールを 取り締まる根拠として、詰まり、ア ルコールが、ヘロインなどの薬物中毒の原因になるとして、主張された理論であ る。
2.奇形の発生はない。
3.凶暴な衝動的行動は、稀である。
4.犯罪と大麻の因果関係は、立証されていない。
5.耐性の上昇、すなわち、同じ効果を得るのに必要な使用量の上昇は、ほとんど 見られない。
6.身体的依存すなわち、その使用を止めると、汗が出るなどの禁断症状はない。
7.多くの常用者には、精神的依存が見られる。しかし、この精神的依存いうことは、例えば、珈琲や煙 草、お酒、さらには、お菓子が好きな人が、また、飮みたいなとか、食べたいなと感じる気持ちのことであって、大麻だけの特徴では ないし、格別、刑事罰を持って規制しなければならない作用ではない。かりに、この精神的依存性が、刑罰を科する根拠にされることがあれば、例えは、ご飯が好きな人は、ご飯に精神的に依存しているということになり、ご飯禁止法を作らなければならないことになってしまうのであり、この考えが、極めて不合理なことは、明らかである。
(『心に働く薬たち』小林司著、筑摩書房発行、180〜181頁参照)
④ 大麻と薬物の乱用に関する全米委員会報告
ニクソン大統領は、1971年に前年に議会を通過した薬物規制法に基づき前ペンシルベニア州知事のロイヤルドシェイファを委員長とする大麻と薬物の乱用に関する委員会を設置した。この委員会は、保守派といわれる13人の委員によって、構成されており、1年に及ぶ調査の後、1972年3月 に『マリファナ:誤解の兆し』と題するレポートを発表し、更に1973年には、最初のレポートと結論を同じくする最終報告を提出した。
この報告の結論であるが、生田典久氏が、ジュリストのNo.654の42〜43頁で、次のように簡潔にまとめられている。
1.大麻には、耽溺性がない。
2.大麻使用と犯罪またはその他の反社会的行動との関連性はない。
3.大麻使用は、ヘロインなど危険な薬物への足掛かりにもならない。
4.長期間の大麻常用者には、ある程度の耐性が生じることがあり得るが、その程度は、煙草以上のものではない。
5.大麻の使用者も大麻自体も公衆の安全に対して、危険な存在を成しているとは いいえない。
2.アンドリュウワイル証言の紹介
大麻に刑事罰を課するほどの有害性がないことは、以下のアンドリュー・ワイル証言からもあきらかである(長吉秀夫著「大麻入門」88〜105頁からの引用)
「1979年京都 アンドリュー・ワイル博士の証言
厳しい取り締りがおこなわれていた1970年代の日本でも、マリファナの存在が認知されると同時に、大麻取締法による検挙者数は増加していった。
その数は、1966年には176人だったのに対し、70年には487人、75年には733人、79年には1070名となっている。乾燥大麻や大麻樹脂の押収量も増加している。しかし、アヘンやヘロインなどの麻薬は減少に転じていった。ただし、ヘロインの使用者が減少していたとはいえ、覚せい剤の検挙者は毎年5000人前後であり、年々増加傾向にあった。また、ヒッピーブームの影響により、幻覚剤であるLSDの使用も1972年、73年の2年間に爆発的に増加する。そんな中で、大麻についての情報はマスコミを通して知られていく。それと同時に、大麻の取締りに疑問を呈する人々も現れたのだった。
1977年、京都の芸術家の芥川耿氏が自宅で栽培した大麻を吸引し逮捕された。その裁判において芥川氏は「大麻取締法は憲法違反である」と訴え、法廷闘争へと発展した。毎日新聞などのマスコミや市民運動家など様々な人々を巻き込んだこの裁判は、日本における大麻解禁運動の始まりといってもいいだろう。
一連の裁判の中で、「大麻とは何か」ということを様々な人物が証言している。『ナチュラルマインド』などの多くの著作を持つ医学博士のアンドリュー・ワイル氏も来日し、日本の法廷で証言している。
ハーバード大学民族薬理学の研究員をしていたワイル博士は、1968年にボストン大学医学部でおこなった大麻吸引の臨床実験データをもとに、政府機関などに助言をおこなっていた。その当時に発表されたWHO(世界保健機関)のレポートの内容や、ニクソン大統領の諮問委員会、そしてカリフォルニア州やアイオワやマサチューセッツの州議会に招かれて大麻の医学的な効能についての証言をおこなっている。大麻に対しての博士の見解は中立であり、大麻問題を知る手がかりにもなる。少し抜粋してみよう。
証人尋問調書
昭和54年6月5日第9回公判速記録より
事件番号昭和52年(わ)第1003号
京都地方裁判所 大麻取締法違反事件
裁判長 川口公隆
弁護人 田村公一
弁護人 丸井英弘
証人 アンドリュー・ワイル
通訳人 片桐 譲
(略)
弁護人(田村) 1972年にニクソンの諮問委員会である「マリワナ及び薬物の乱用に関する全国委員会」が研究報告をしておりますが、証人はこの全国委員会から何か意見を求められたことがありますか。
証人 発行されたのが1972年で1970年にその委員会から意見を求められております。
弁護人(田村) 場所はどこですか。
証人 首府のワシントンです。
(略)
弁護人(田村) WHOの報告と、ニクソンの諮問委員会の全国委員会の報告とは、どちらが信用がおけるのでしょうか。
証人 私はニクソン・レポートのほうがいいと思います。何故ならば、それにはマリワナを使った人の実際の経験、証言が集められているからです。
弁護人(田村) WHO報告の問題になっている個所について、正しいかどうかをお聞きしますが、WHOの報告では「大麻を大量に摂取した場合、通例、急性中毒症状がみられる」と報告されているのですが、これは証人から見て、どうでしょうか。
証人 それは可能ではありますが、私自身はほとんどその例を見ておりません。
そしてほかの種類の薬物、例えばアルコールとかアスピリン等に比べて、はるかにそういうことは起こらないと思います。 例えばアメリカ合衆国では、何百人という人が、毎年アスピリンの飲みすぎで死んでおりますが、マリワナの飲みすぎで死んだ人はいません。
弁護人(田村) すると証人自身は、大麻を吸って急性中毒症状がみられたということを見たことはないわけですね。
証人 私自身が見たのは、ハシッシュを食べて、その結果として非常に眠くなって、長いこと寝続けたという人はおりました。これが私の見た最悪の例です。
しかし、タバコの形で吸った場合には、中毒症状を見たことはありません。
弁護人(田村) 証人自身の観察にもとづかなくても、何か信用性のある研究で急性中毒症状がみられたという例はありますか。
証人 マリワナの資料についての問題点というのは、セカンドハンド、人から聞いたということの資料ばかりだということが問題で、特に古い文献資料、1920年代や1930年代のがそうなんです。そのころの資料にはマリワナの飲み過ぎというようなことが言われております。しかし、現在の新しいのには、そういうマリワナのとり過ぎによって起こる急性中毒症状がないということです。それで、これらの古い資料が、何故そういうふうに中毒症状があるということを言い出したかと言うと、多分、医者達は、ほかの薬物と一緒にとった場合のことを見て、そういうふうに思ったんだと思います。
弁護人(田村) すると、WHOの報告は相当古い資料を使っているので、信用性がないということでしょうか。
証人 そうです。
(略)
弁護人(田村) 全国委員会の報告書では、マリワナを中程度吸うと「精神依存が立証される」というふうに報告しておりますが、これについてはどのように思われますか。
証人 「精神依存」と言う言葉がちょっと不明瞭であいまいだとおもいます。
なぜならば、それは我々が気に入らないことを何回も繰り返してする行動に対して名付けるときに使う言葉だと思います。 そしてその繰り返す行為が我々がいやだと思わないことだったら、我々はそれを、「精神依存」とは呼ばないのです。
例えばアメリカや日本にはテレビを見ずには一日も過ごせない人々がたくさんいますが、普通これを「精神依存」と呼ばないのであります。 しかし、ヘロインとかモルヒネのような薬物においては、身体的な依存性が見られます。アルコールでも身体的依存が見られます。
しかし、マリワナの場合は、それを長年間常用しても身体的変化というのは見られません。 ですから、これはテレビを見なければすごせない、という人とどこが違うのでしょう。
(略)
弁護人(丸井) 大麻が有害であるという説の中に「スッテッピング・ストーン理論(踏み石理論)」というものがありますが、これの内容と、これが正しいのかどうかということについて証言してください。
証人 これはマリワナについての古い神話で、何回も繰り返されてきた説だと思います。
この説はマリワナを使っていると、それよりももっと危険な薬物へ行く踏み石になるのではないか、特にヘロインに行かせるのではないかという考えです。
確かにアメリカ合衆国で、ヘロイン常用者に聞きますと、その前にはマリワナを吸っていたという人はいます。 しかし、彼らはそれ以外にも若いときにいろいろなことをやっています。
多くのヘロイン常用者達は、12歳になる前からタバコを吸っていたりします。 そして、みんなヘロインを始める前に、アルコールを飲んでいます。 それに反して、マリワナ常用者の大部分はヘロインに対して何の興味も示しません。
ですから、私はこれは嘘の理論の例だと思います。
弁護人(丸井) 次に「催奇形性」があるというような意見もあるようですが、これについてはどうでしょうか。
証人 私はそれを証明する証拠はないと思います。しかし、それに反して、タバコを吸う女性の場合には、吸わない女性よりも、統計的に奇形児の発生が見られます。
そして、今度、アルコールを飲む女性の場合もより多くの異常児が発生するということがわかってきました。
弁護人(丸井) 大麻を吸うと、人を攻撃的にさせ、暴力犯罪を引き起こすという意見もありますが、この点についてはどうでしょうか。
証人 そのことについて、確かにそう言えるというのはアルコールであります。それに反して、マリワナは人々を静かにし攻撃的でなくします。
(略)
証人 イギリスやアメリカでも、少し、マリワナ使用によってある種の脳の障害が起こったという報告はあります。しかし、これらの報告はマリワナ以外の要素がそこに入っていたんじゃないかという可能性を配慮する努力をしていません。
例えば、過去に何か傷を受けたことがあるかというようなことに対して配慮していないのです。
そして、例えばジャマイカのように非常に多くの人がマリワナを吸っているというところでの統計として、脳障害が起こっているということをいっている者はありません。
弁護人(丸井) 大麻を日常的に使っている社会というかグループで、そういう脳障害が起こるとか暴力犯罪が起こるというようなことが見られますか。
証人 いいえ。
ワイル博士は、医療大麻についても言及する。1970年代の発言であるにも関わらず、この時点ですでに現在実際におこなわれている大麻医療の内容についても博士は明言している。
(略)
弁護人(丸井) 大麻を吸って、何か利益になる、いいことというのはあるのでしょうか。
健康の面、精神的な面において・・・。
証人 はい。まず健康についてですが、マリワナは医学のほうでは非常に長いこと使われてきました。
しかし、今世紀になってから使われなくなったのです。しかし、今また新しくマリワナについての関心が医学会で高まっています。 というのは、それが安全だからです。普通の医療品と比較して安全なのです。
いくつかの点で、現在の医療をしているものを満たすからです。ですから、4つの州では、特定の医療のためには、マリワナを使うことを許しました。 その一つは癌の患者が癌の薬で吐き気を催すのを治すために使うことです。
マリワナはこの目的で非常に効果を発揮します。しかも、それは毒性がありません。
第二には目の病気の緑内障、あるいはそこひに対してですが、この病気は目の中の眼圧が高まって、最後には視力を失うものですが、マリワナはその圧力を減らします。
第三にマリワナは喘息の治療に使われます。第四に、脳性麻痺、特に筋肉の脳性麻痺に対して使われます。脊髄に対する障害、あるいは生まれつきの脳性麻痺に対して使われています。
そして、ここ数年のうちに他の病気の症状に対しても、マリワナが治療に有効であるということが発見されるでしょう。
精神的なよい面について述べますと、それはずっとむずかしい問題です。
それは一人一人によって非常に違うからむずかしいのです。 マリワナは、ある宗教においては長いこと使われたという伝統があります。 特にアジアでは使われてきました。そして多くの人々がマリワナは精神的によい影響を与えたという人がいます。
私が会った多くの人々の中で、マリワナを使ったために瞑想するようになったという人がたくさんいます。しかし、マリワナが精神的なよいことをもたらすというのも間違いだと思います。
それは、マリワナが脳障害を起こしたり、ヘロイン使用に走らせると言うのと同じく間違っています。 マリワナは人々を精神的に助けるという可能性、潜在的力はあると思います。
しかし、これはそれを使う人が適切に積極的に使うかどうか、ということにかかっています。確かに、マリワナをばかな目的で、しかも使い過ぎるということはありうることです。そしてそういうふうにするひとがたくさんいることも事実です。
アンドリュー・ワイル博士は医学博士として大麻やその他の民族に伝わる薬物についても研究を重ねている。アメリカには、政府以外の大学の研究室や市民団体レベルでも様々な検証をおこない、常に連邦政府と意見交換をおこなっている。相変わらず連邦政府は大麻については厳しい姿勢を崩してはいないが、これらの運動を許容しする政府の姿勢は、市民たちの運動と共に評価に値する。
さて、ワイル博士への質問は、大麻取締法の有効性についても言及する。
(略)
弁護人(丸井) 日本では大麻取締法があって、大麻を持っていたり、人にやったりすれば、5年以下の懲役刑というふうになっていますが、この刑事罰でマリワナを禁止すると、何か逆に悪い効果が出るというようなことが言えるのでしょうか。
アメリカなどの経験から見て、どうでしょうか。
証人 第一に、そういう法律は実際には効力がないと思います。
弁護人(丸井) それはどういう意味ですか。
証人 マリワナ関係の法律がアメリカでできてからマリワナ使用率は高まっています。
その一つの理由は、法律があるということで、かえって反抗の形としてマリワナ使用というのが出てきたと言えます。 二番目に、法があることでかえって個人や社会に悪影響があると思います。例えば、マリワナによって起こることで一番悪いことは、刑務所へ入らなければならないということです。しかも、昔から言われていたほどマリワナが危険じゃないということが最近、わかりつつありますので、人々はそのことをきっかけにして、法律とか社会の全体の構造をもう一回見直しつつあるわけです。
ですから、現実を反映しないような法律は、結局は法律体系全般にとって、非常に破壊的な影響を持ってしまうことになります。 そして、アメリカでこれらのマリワナを罰する法律の一番の悪影響は、これらのマリワナ裁判でもって、裁判所を非常に混雑させて、裁判所が動けなくなってしまった、ということであります。
そして、その代わりに、本当に重要な犯罪に目が向かなくなってしまっているということです。
検察官 マリワナを使うことによって「妄想」とか「不安」あるいは「記憶力の減退」「連想の混乱」等が起こりうるということですが、そういう意味で、マリワナはやはり有害であるということになるんじゃないですか。
証人 そういうことはありえます。しかし、現実世界で起こっている他のことのほうが、そういうことをもっとしばしば引き起こすし、もっとそういう実例があると思います。アルコールはごく当たり前に人を殺したり、精神異常にしたり、病気にしたりすることがあります。
どんな薬でも、間違って使ったり、使用しすぎたりすれば、それは危険です。 しかし、現実使われているほかの薬物に比べれば、マリワナはずっと安全だと私は信じます。
検察官 アメリカの法的規則について先程証言されたのですが、アラスカでは自らが使うためならば合法だということですが、アラスカでマリワナが合法でないとされる場合はどういう場合があるのでしょうか。
証人 個人の使用のために使ったり栽培したりすることはいいですが、しかし、法律では量について明記してあります。アラスカでは冬が非常に長いので、人々は非常にたくさんのマリワナを作ることができて、しかもそれは自分の使用のためだと言っております。しかし、売ることは非合法であります。
検察官 アラスカでは、人に販売することはいけない、ということになっているということですね。
証人 はい。
検察官 アラスカ以外の州では、マリワナの使用あるいは所持というものは罰則によって禁止されているということになるわけですね。
証人 州によって罰則が違います。
検察官 罰則が違うというのは、罰則の程度というか、軽い処罰をするというところと、それより若干重い処罰をするところがあるという意味ですか。
証人 例えばカリフォルニアでは、30グラム以下の場合だったら罰金で、しかも罰金がおこなわれない場合もあります。
しかし、ネバダではいかなる量のマリワナでも、所持していたら終身懲役刑というところもあります。
弁護人(丸井) 終身懲役刑になるということですが、アメリカで非常に長期の懲役刑を科するのは個人の幸福追求権とか、プライバシーの権利を侵害するから、憲法違反だという裁判例はあるのでしょうか。
証人 アラスカでは、そういうことでアラスカの最高裁判所でもその判例は支持されております。
弁護人(丸井) それは憲法違反ということですか。
証人 はい。アラスカの最高裁判所では、これらのマリワナ取締法は憲法違反だということを言いました。
その理由は、州政府はマリワナが非常に危険であるということを証明できなかったからです。ですから、これはプライバシーを侵すということで憲法違反であるというふうに考えたわけです。
弁護人(丸井) 具体的に憲法のどういう条項に違反したということですか。
証人 まず、憲法の前文で個人の生命と自由と幸福の追求を書いたところです。それでマリワナを吸っている人は、自分は幸福を追求しているんだ、というふうに言っております。
弁護人(丸井) すると憲法で規定されている幸福追求権からして憲法違反だということになったわけですか。
証人 はい。幸福追求権に反しているということと、もう一つ人権宣言では家宅捜索について、それを禁止しているわけです。政府の側がはっきりした理由を示さずに個人の家を捜索することは憲法の一番最後の人権宣言のところで禁止されているわけです。
弁護人(丸井) 正当な理由がなく家に入って捜索などをした場合は、憲法違反だということになるわけですか。
証人 はい。政府は例えばマリワナは社会にとって危険であるという正当な理由があって家宅捜索をするんだといっていたわけです。ですからこの議論は本当にマリワナが危険であるかどうか、ということの議論でその真偽が出なければならないわけです。そして、アラスカではとにかく政府側はそれが非常に危険であるということを裁判所に対して証明できなかったわけです。
(略)
大麻をヘロインなどと同様の危険な麻薬と誤解している人がこの証言を聞いたら、信じられないほど愚かな証言に感じるだろう。しかし、アメリカでは60年代から現在まで、様々な機関が大麻を研究し続けている。その上で州議会や市民は自己判断をおこなっているのが現実の姿である。しかし、残念ながら日本では過去一度も、大麻の危険性や有効性についての検証はおこなわれていない。
1970年代のアンドリュー・ワイル博士の証言や芥川氏の大麻取締りに対する様々な疑問は、日本の大麻問題を考えるその後の人々に影響を与えていった。 」
3。欧米における大麻政策
① 朝日新聞2001年3月27日国際版では、『 大麻 欧州「容認」へ傾斜 』と題して、次のように欧州の主な国の大麻政策を紹介している。
日本国憲法は基本的人権の保障を基本理念とするものであり、大麻政策においてもオランダを初めとする欧州諸国の政策こそがこの憲法の理念に合致するものである。
オランダ
1976年に薬物法を改正し、社会が看過できない危険があるヘロインやコカインなdの麻薬と大麻を区別。18歳以上の30g未満の大麻所持は訴追されない。
コーヒーショップでの大麻販売は①1回の販売量が5g以下②18歳未満への販売禁止③公共の秩序を乱さないなどの条件を満たせば認められる。
デンマーク
少量の大麻所持については警告のみで対応するよう、検察長官が警察に勧告
ドイツ
すべての麻薬の少量所持は▽第三者に迷惑をかけない▽未成年者が関与しない▽個人使用目的である、などの条件をみたせば訴追を免れる。一部の州では販売を容認
スペイン
公共の場などでの個人使用は罰金の対象だが、実際はほとんど取締は行われていない。
フランス
1999年、個人使用は訴追しない方針を政府が発表
イタリア
1回目は勧告、2回目以降は運転免許証没収など行政罰だが、実際はほとんど適用されていない。
ポルトガル
2001年1月、法改正案が議会を通過。すべての麻薬の個人使用を罰則の対象としない代わりに、麻薬使用者は依存症の程度に応じて治療を受ける義務を負う。
英国
少量使用は警告が罰金刑。政府は最近、大麻使用者が雇用主に警告を犯歴として報告する義務を廃止すると発表。
スイス
個人使用容認へ政府が法改正案を提出
② イギリス・カナダ・オランダ・ベルギー・オーストラリアにおける大麻の最近における規制状況
イギリス・カナダ・オランダにおける大麻の最近における規制状況は、以下のとおりであり、大麻に対する規制のあり方に変化がみられ。日本においても、これらの政策を参考にして、懲役刑のみで対処するという大麻規制のあり方を変更する時期に来ていると考える。
なお私が担当した判例タイムズNo.369の424頁の大麻取締法違反事件の判例解説で、次のように述べているので、参考にしていただきたい。
「我が大麻取締法はいわゆる占領軍立法の一つであるが、昭和38年(法108)になって、従来の3年以下の懲役又は3万円以下の罰金という比較的ゆるやかな罰則が、選択刑としての罰金が廃止され、懲役刑も重くなって、5年以下の懲役という比較的きびしい刑罰に改正された。大麻に従来考えられていたような強い有害性は認められないと考えられている現在、なおこのような懲役刑のみを以て処罰する立法を維持することが賢明であるかは疑問の存するところである。」。
1)イギリスの場合
2002年7月11日付けの日本経済新聞夕刊は、「英、来年7月から、大麻の使用、事実上黙認。」と題して、次のように報道している。
【ロンドン=加藤秀央】
英政府は十日、来年七月から個人が少量の大麻を所持、吸引しても原則として逮捕、起訴はしないとする新方針を発表した。警察の捜査の重点をヘロイン、コカインなどの麻薬摘発に移す狙い。ただ、大麻の使用を事実上黙認する措置に批判の声が上がっている。
来年七月以降、個人が少量の大麻を所持したり、吸引するのが見つかっても、警察が警告するにとどめる。その一方で組織暴力の資金源につながるような大量の大麻の密売取引や、子供が多い場所での吸引については逆に罰則規定を強化する。
英国は欧州連合(EU)の中で「薬物汚染」の割合が一番高い。大麻を吸ったことのある割合は十六—二十九歳で四割以上に上り、取り締まりは事実上不可能なのが実情だ。
この背景として、次の情報を参考にしていただきたい。なお、これは、カンナビストのホーム頁( http://www.matsuri.net/cannabist/news/index.html#12 )からの引用です。
① マリファナの非犯罪化以降ロンドンでの路上犯罪が半減
2002年5月30日(ロンドン、イギリス)
南ロンドンでは、自治区の警察が軽微なマリファナ違反者に対する逮捕を止めて口頭による警告のみに留めるようになって以降、路上強奪や恐喝などの件数が50%近くも減少した。司法当局は昨年秋から、マリファナに関しては「口頭注意のみ」とすることで、警察の人的資源をもっと深刻な犯罪へと割り当てる方針を実行に移している。
BBCの水曜日のレポートによれば、ランベス警察署の管轄内における路上強盗、恐喝の発生件数は昨年10月の916件に対して、今年4月は468件だった。加えて、今年に入ってからの路上強盗の発生件数は昨年比で18%減少しており、これは英国における路上犯罪としては最高の減少率となっている。
英国の取締当局、警察、政治家たちは、今後マリファナの規制レベルを再分類し、マリファナ所持を逮捕され得る違反行為から除外することに公式に賛成を表明している。この変更(=再分類)は、7月には実施される予定である。
(出典:NORML News Archives)
② 研究結果 --- 大麻の自動車運転能力への影響は微小
2002年3月28日(バークシャー、イギリス)
イギリスとオーストラリアで最近実施された、2つの研究の結果、大麻が運動機能におよぼす影響はアルコールと比べても低く、ほとんど交通事故の原因になっていないことが確認された。
イギリスの交通研究所(TRL:Transport Research Laboratory)により実施された研究では、大麻の影響下にある運転手の方が、アルコールの影響下にある運転手よりも高い運転能力を示す結果が得られた。研究員の報告によると、大麻は運転手が正確に車を操作できる能力に影響を与えるものの、運転手の反応速度やその他の運転能力を示す数値には影響を与えなかった。また、アルコールの影響下にある運転手とは異なり、大麻の影響下にある運転手は自らの運転能力の低下を自覚しており、慎重に運転することによって運転能力の低下を補おうと試みる傾向があることが明らかになった。
約一年前に、同様の準備試験がTRLにより実施されたが、今回の試験は準備試験で得られた結果を肯定する結果となった。
オーストラリアのUniversity of Adelaide(アデレード大学)臨床薬理学部による研究でも同様の結果が得られている。「アルコールは圧倒的に最大の交通事故の要因となっている。...一方、...大麻は交通事故の要因にはほとんどなっていない」という事実が確認された。また、交通事故による負傷者2,500人に対する過去の調査結果でも大麻が原因となっていたことがほとんどなかったことが明らかになっている。
NORMLの財団エグゼクティブ・ディレクターのアレン・サン・ピエール氏は、イギリスとオーストラリアで得られたこれらの結果は特に驚くべきものではなく、「大麻が運動機能へ及ぼす影響は、処方薬や疲労をもたらす他の合法的な要因と同じレベルのものであるという我々の認識を肯定するものだ」と発言している。
(出典:NORML News Archives)
2)カナダの場合
2003年7月2日付け読売新聞では、「カナダ 大麻 “合法”化へ 」と題して、次のように報道している。
『バンクーバー中央部に近いコーヒーショップ。歩道のテーブルで男性があたりはばかることなく大麻をふかしていた。「近くには(大麻の)種子あります」という看板を掲げる大麻ショップが。すべてが堂々としており、拍子抜けするほどだ。
ーーーバンクーバーではすでに大麻は野放しのようにみえる。だがクレティイン政権はさらに、15グラム以下の大麻所持については刑事罰訴追せず、交通違反なみに違反切符ときるだけにする法案を5月末に議会に提出した。この趣旨については与党・自由党メンバーで元閣僚のヘディ・フライ氏は「大麻で中毒になる人はごく少数。政府は取り締まりよりも、健康情報を国民に提供し判断してもらうことにに力を注ぐべきだ」と話す。ーーーー 』
この合法化の背景として、次の情報を参考にしていただきたい。なお、これは、カンナビストのホーム頁( http://www.matsuri.net/cannabist/news/index.html#12 )からの引用です。
① カナダ法務大臣、マリファナの非犯罪化を呼び掛ける---「現行の規制は効果がみられない」
2002年7月18日 (オタワ、オンタリオ州、カナダ)
カナダ法務大臣マーティン・コーションは、マリファナの所持に対して科されている刑事罰を廃止する呼びかけを再開した。さらに彼自身もマリファナ喫煙の経験があり、非犯罪化を支持していると公表した。
「現行の制度を見ても、マリファナを犯罪として扱い続けることはあまり効果的ではない」とコーション法相は語っている。さらに、カナダ警察が必要以上にマリファナ違反の取締りに時間と経費を費やしていることも付け足した。
カナダでの薬物事件のうち、マリファナだけの所持違反が全体の3分の1以上を占めている。
コーション法相は軽微な違反者に対して禁固刑や前科を与えないように、カナダのマリファナ取締法改正を勧告した。カナダ医師会、カナダ警察署長連合、カナダ教会協議会も法改正を支持している。また全国的に実施された世論調査の結果によると、カナダ国民4人のうち3人以上が非犯罪化に賛成しているという。
カナダ上院規制薬物対策特別委員会が5月にまとめた予備報告書では、マリファナは比較的害が低く、社会の安全に対してほとんど悪影響を及ぼさないと結論付けられている。さらに、マリファナを刑事犯罪として取り扱う現行の取締法が、マリファナ使用の増減にほとんど影響を与えていないという傾向も示されている。特別委員会は下院議会においても発足しているが、上下院の特別委員会は年末までに、正式な報告書の発行を予定している。
(出典:NORML News Archives)
② カナダでのIQ調査結果 --- 過去の大麻使用は知能に悪影響を及ぼさない
2002年4月4日(オワワ、オンタリオ州、カナダ)
今週のカナダ医師会ジャーナルに掲載された調査結果によれば、マリファナの喫煙は、たとえそれが長期にわたるものであっても知能に害を及ぼさない。
調査グループは、かつて平均して過去38週間に5,793本のジョイント〔≒1日に5本〕を吸い続け、現在では使用していない被験者群の知能指数(=IQ)に測定し得る悪影響が出ていないことを報告している。現在も1週間に5本以上のジョイントを吸い続けているヘビーユーザー群には僅かながらIQ値の減少が見られたが、それでも彼らのスコアは同年齢層の平均値を上回っていた。
レポートの報告者はマリファナがIQに与える悪影響が軽微であることを「特筆すべきもの」と言及しており、「マリファナは知能全般に対して、長期にわたる悪影響を及ぼさないと結論づけられる」と書いている。
過去に実施された、認知機能に対するマリファナ使用の影響を評価した調査でも同様の結論が出ている。最近では、米国の「精神医学ジャーナル」に掲載された研究結果によって、マリファナ喫煙を中断後一週間以上経過した被験者の認知機能テストのスコアとノンスモーカーのスコアの間には差異が見られないことが確認されている。さらに、1999年にアメリカ疫学ジャーナルが1,300人のボランティアを対象に行った調査では、過去15年間にわたるマリファナのヘビーユーザー、ライトユーザー、およびマリファナを全く使用しなかったノンユーザーの間で認知機能の低下に関する顕著な差異は見られなかった、と結論づけている。
(出典:NORML News Archives)
3)オランダの場合
オランダでは、最近大麻の販売を政府が公認した。
2003年9月3日付けの読売新聞は、「大麻販売 政府が公認 オランダ がん患者など限定」と題して次のように報道している。
「オランダで一日、がんなど特定疾病の思者を対象に、政府管理下での大麻販売が始まった。鎮痛作用などの薬効を認めたもので、「医療大麻」の公認販売は世界で初めて。対象は、がん、エイズウイルス(H工V)、多発性硬化症、トゥレット病の患者。従来の治療では患者の苦痛軽減、食欲増進、けいれん緩和などができない場合などに限り、処方が司能で、紅茶に溶かして服用するか、蒸気化して吸引する。価格は五グラムで四十四ユーロ。オランダでは、これまでも条件付きで容認されてきたが、非公認で品質は保証されていない。がんなどの患者のうち約七千人がこうした大麻を購入している。」
3)ベルギーの場合
ベルギー政府も医療用大麻の販売を解禁する方針を発表した。
2003年11月1日付け毎日新聞は、「<ベルギー>来年にも大麻販売を解禁 保健相が明言」と題して、次のように報道している。
【ブリュッセル】ベルギーのドゥモット保健相は、1日までに毎日新聞の取材に応じ、がん患者の鎮痛剤などとして、来年にもベルギーの薬局で大麻販売を解禁すると明言した。同様の政策はオランダが9月から導入しており、ベルギーの追随で、大麻販売の「是非」が再び問われそうだ。
同相によると、5カ月以内に製薬会社が販売許可を申請する予定で、政府の承認後、早ければ8カ月後にも販売が開始される。オランダでは政府が大麻栽培から販売まですべてを管理するが、ベルギーの場合、製薬会社に政府が販売認可を与える方式をとり、オランダ同様、医師の処方せんをもとに薬局で購入できるようにする予定という。
同相は大麻に含まれる物質「THC」の薬効を強調。「THCが、エイズ患者などの苦痛を軽減することが、ベルギーなどの研究で判明している」と述べた。また、「大麻に含まれる物質に、エイズなどの疾病自体の治療効果がある可能性があり、数年前から政府で研究を続けている」とも話した。
大麻を薬局で販売する是非について同相は「大麻の成分を薬事的に使用することと、快楽のために大麻を吸うこととは別次元の問題だ」と発言。モルヒネなどの麻薬物質も、世界中の病院で末期がん患者の治療などに使われていることを指摘し「倫理的な問題を議論すべきではない」と話した。
大麻 クワ科の1年草。葉などを乾燥させ吸飲するのがマリフアナで、中枢神経を刺激し幻覚作用があるため、日本では法律で禁止されている。主成分はTHCで、快楽を誘う一方、がん患者の苦痛の削減や食欲増進、多発性硬化症のけいれん治療に効果があるという研究がある。
4)オーストラリアの場合
西オーストラリア州やAustralian Capitol Territory, Australian Northern Territory,
South AustraliaとVictoria等などオーストラリアのいくつかの州では、個人使用目的の大麻の所持栽培については、刑事訴追されない取り扱いになっている。
4。アジア・アフリカ諸国などにおける大麻の使用実態と規制状況
「マリファナの科学」著者 レスリー・L ・アイヴァーセン、訳者 伊藤肇、菊池書翰株式会社、2003年5月20日発行(著者略歴 オックスフォード大学薬学部およびロンドン・ハマースミス病院にあるインベリアル・カレッジ医科大学臨床薬理学の客員教授。)の262〜265頁では、次のように述べている。
「9 世界の大麻使用
大麻は娯楽用や医療用として、また宗教儀式に欠かせない道具として、世界の数々の国々や文化で何百年にもわたって利用されてきた(諭評は、Rubin.1975; Robinson.1996)。
この事実を踏まえておくことは、昨今西洋で見られる大麻の流行を理解し、これをより広い文脈でとらえる助けになることだろう。現代の多くの大麻使用者は、陶酔状態になったときに得られる霊性や神との一体感について語っている。大麻はヒンズー教やゾロアスター教、ラスタ主義、仏教、道教、スーフィズムだけでなく、アフリカのダッガ信仰(ダッガは大麻のこと)やエチオピアのコプト教など、多くの宗教で聖体として使われている。アルコールと違い、大麻はコーランでもとくに禁忌となっていないため、多くのイスラム国でアルコール代わりに使われる傾向がある。
インドとパキスタン
インド大麻委員会の報告(1895)は100年前のインド亜大陸での大麻の利用状況についてくわしい記述を行っており(7章参照)、『チョプラ・チョプラ』(1957)は、半世紀近くたってもこの地域でほとんど変化が見られない状況を描き出している。
大麻を消費する方法は、大きく分けて2つある。
乾燥大麻はバングと呼ばれ、噛むか食べるか、またこれより広く利用されるスタイルとして、しばしばタンダイと呼ばれる飲料を作るのに使われる。この飲料には多くのヴァリエーションがあり、バングは牛乳やアーモンド、メロン、ケシの実、アニスの実、カルダモン、爵香、ローズ・エッセンスといったさまざまな材料と混ぜ合わせて使われる。バングを入れたケーキや、粉末状にした大麻の葉を入れたアイスクリームもある。
ヒンズー社会ではアルコールは禁忌となっているため一般に見下される傾向があるが、大麻の使用は社会的に是認されている。バングはヒンズー教でとくにドゥルガー・プージャ祭の最終日を祝うために使われ、各寺院ではシヴァ神への捧げ物となる。バングはまた各地を巡歴するヒンズー教の苦行者によっても使われているーー
精神的な機能をはたしながら(中略)苦行者たち(サドゥーと呼ばれる)は国内各地を歩き回って精神的なエネルギーを放ち、インドと全地球の意識を呼び覚まし、バングを使うことで精神的パワーが授けられ、悟りに近づくことができると信じ、シヴァ神を崇めている。シヴァ神こそは、大麻によってたえず陶酔状態にあったと言われている。サドゥーは自ら家を捨てて森や洞窟のなかに住まい、始終歩き回り、慈善の施しを受けて生活している。その髪はもつれた長い房となって垂れ下がり、その肌は粉塵や灰にまみれ、身につけているものは何枚かのぼろ布だけで、まったく何も身につけていないこともある。サドゥーは独身を貫き、食べ物も水も摂らずに長い問断食を行い、物理的な禁欲生活を実践している。バングはそんな彼らが思考を聖なるものに集中させ、苦難に耐え抜くのを助けると言われている。(Robinson,1996)
バングはヒンズー教のこのほかの祭礼や、結婚式などの家庭行事でも使われることがある。ーー中略ーー
吸引はふつう社会活動として2ー5人が寄り集まって行われる。
かつては労働者、漁師、農夫など長時問働く必要のある人たちが1日の終わりなどに大麻を吸うことで疲れを癒し、肉体的ストレスを和らげる光景が見られた。スポーツ選手は大麻を摂ることで体力や持久力を増進させていた。
ネパールとチベット
ーー中略ーー
チベットでは、大麻は一部の仏教行事で重大な役割を担っている。インドの伝説や書物によれば、シッダールタ(釈迦の別名)は紀元前5世紀に真理を告げ、釈迦となる直前の6年間、もっぱら大麻草とその種だけをつかい、食べていたという。
東南アジア
カンボジア、タイ、ラオス、ベトナムでは、大麻は広く行き渡っている。1960年代から70年代にかけて、ベトナム戦争の間に多くのアメリカ人が現地の大麻を知ることになった。大麻は家庭で栽培される傾向があり、何株かが家の周囲に植えられていることが多い。乾燥大麻は市場で自由に手に入れることができ、タバコといっしょに吸引される。乾燥大麻は郷土料理に利用されることも多く、食品に心地よい香りを加え、軽い多幸化効果をもたらすために使われる。医療用途では大麻は鎮痛剤として認められ、コレラやマラリア、赤痢、嚇息、痙撃の治療に使われる。大麻は社会的幸福の源として友人と共有すべきものと考えられ、仕事の辛さを軽減するためにも使われる(Martin;Rubin,1975)。
アフリカ
娯楽や宗教のための大麻の利用はアフリカのほとんどの地域に普及しており、その歴史はヨーロッパ人の到来以前にまでさかのぼる。ダッガとして広く知られる大麻はピグミー族やズールー族、ホッテントット族にとっては聖体であり、医薬でもある。エチオピァの宗教儀式での利用の歴史は古く、初期コプト教の教会でも利用され、聖体として用いられている。モロッコでは大麻はキーフとして知られ、リフ山脈に住む部族の間で興奮剤として、また日常生活の重圧を和らげる手段として伝統的に使用されてきた。最近ではリフ山脈などモロッコ北部の大麻の栽培が、かつて農業的にもっとも貧しかったこの地域の重要な輸出産業となっている。モロッコをはじめ北アフリカの国々ではキーフ吸引専用の部屋をもつ人が多く、そこで伝説が語られたり、ダンスや歌が披露されたりして若い世代に受け継がれている。
カリブ海諸国とラテン・アメリカ
ジャマイカは今日、大麻栽培の重要な中心地となっている。ガンジャと呼ばれる大麻は19世紀中頃にインドから労働移民によって伝えられ、黒人労働者階級に広がり、その後の広範な普及につながっている。ガンジャ吸引は労働者階級の男性の間ではごくふつうの行為で・吸わないと非常識な人問とみなされる。ガンジャを初めて吸
ことは成人式としての文化的意味をもち、そのさいガンジャによって幻を与えられるのが理想とされている。」
また、1992年12月3日付朝日新聞でも次の様な報道している。
「カンボジアの大麻(青鉛筆)
▽カンボジアでは、大麻を育てるのも、販売するのも自由。たばこ売りの露店や市場で簡単に手に入る。乾燥させた葉一キロで役五〇〇〇リエル(約三〇〇円)。
▽PKO活動でタケオに宿営する自衛隊施設大隊では、日本国内で禁止の大麻も当然禁止。それでも、隊員の監視役のある幹部は「幸いタケオでは売っていなかった」と胸を撫で下ろす。
▽もっともカンボジアでも、吸引するのは外国人か自転車タクシーの運転手ら一部の人。実は「味が良くなり、食欲も増す」と、家庭でも料理屋でもスープの隠し味にこれを使う。隊員たちが知らずにゴクリなんてこともありそうだ。(プノンペン=加藤修)」
5。2010年(平成22年)3月26日読売新聞国際版で以下の記事が報道されており、日本に大麻取締法の制定を迫ったアメリカにおいて大麻合法化の動きが加速している。
「マリファナ合法化 住民投票で判断 財政難のカリファルニア州 11月実施 郡・市当局に課税権 」[ロサンゼルス=飯田達人]
「米カルファルニア州は24日、マリファナ(乾燥大麻)の使用合法化の是非を問う住民投票を11月に実施すると発表した。同州は1996年に医療目的に限ってマリファナ使用を合法化しているが、今回は嗜好品としての合法化を問うもの。
合法化を目指す活動家らが投票に必要な署名を集めた。住民投票にかけられる案は、21歳以上の人にマリファナ1オンス(約28グラム)までの所有を認めるはか、一定量の栽培もできることとし、郡や市当局には課税権を与える、というもの。
6。ドイツのリューベック地方裁判所と連邦憲法裁判所の判例の紹介
ドイツで1994年に下されたリューベック地方裁判所の判決、また、同年に下されたドイツ連邦憲法裁判所第二法廷の判決によれば、非日常的な自己使用目的の大麻の所持は、刑事処罰の対象にならない取り扱いになっているの。
「ハシシ(Cannabis)決定ー薬物酩酊の権利?」と題する中央大学教授工藤達朗作成の判例評釈(「ドイツの最新憲法判例」信山社発行)で、同教授は次のように述べられている。
「被告人は、麻薬法違反容疑で勾留中の夫に面会し、抱擁の間に、1.12グラムのハシシの入った小袋を手渡したとして、リューペック区裁判所により、2ヵ月の自由刑を言い渡された。被告人は、量刑不当を理由にリューベック地方裁判所に控訴したところ、同裁判所は、次の理由により該当する麻薬法の規定を違憲であると確信し、基本法100条1項に基づき手続を中止し、連邦憲法裁判所に事件を移送する決定を下した。
⑴ アルコールやニコチンが大麻製品よりも有害であるのは明白であるにもかかわらず、麻薬法が大麻製品のみを麻薬としたことは恣意的であり、立法者の裁量権の限界を逸脱しているから、基本法3条1項の平等条項に違反する。
⑵ 自己使用目的の大麻製品の交付を処罰することは、基本法2条1項に違反する。いかなる食品、嗜好品、酩酊品を摂取するかについて自己の責任で決定を下すことは、人間の自己決定の基本的要素であるから、「酪酊の権利」も人間の自己決定の中心部分として基本法2条1項の保護を受ける。基本権の制限は比例原則に従つてのみ許されるが、刑罰という手段は立法目的の達成に適合しない。また、大麻が事実上非犯罪化されている国をみれば、刑罰は必要性がない。さらに、刑罰は、基本権の制限と釣り合いがとれていない。ソフトドラッグとハードドラッグを区別していない点も、比例原則に反する。
⑶ 大麻製品による「酩酊の権利」を禁止された市民が、より危険なアルコール摂取を強制されることになるから、基本法2条2項第1段の身体の不可侵性に反する。
これに対して、連邦憲法裁判所第2法廷は、問題となっている麻薬法の規定の合憲性を認めたが、少量の大麻製品の非常習的な自己使用目的の行為については、訴追を免除すべきであると判示した。グラスホフ裁判官とゾンマー裁判官の少数意見がある。前者は多数意見の結論に同調するが、後者は麻薬法の規定を違憲と断ずるものである。」
さらに、工藤達朗中央大学教授が、次のように指摘されていることを十分に考慮していただきたい。
「なお、わが国でも、大麻取締法の合憲性について、裁判でしばしば争われてきたところであるが、1985年に最高裁判所が大麻の有害性を肯定して以来、実務上はすでに決着がついたとみなされているようである。学説上もこの決定に対して正面から異を唱えるものは存在しない。連邦憲法裁判所の本決定は、この再検討を促すものであろう。」
6。最高裁判所「最高裁昭和60年(あ)第445号昭和60年9月10日第1小法定決定・裁判集(刑事)240号275頁、最高裁昭和60年(あ)第735号昭和60年9月27日第1小法定決定」は、大麻の有害性を認定しているが、弁22号証の「大麻の有害性を肯定して大麻取締法の違憲論を退けた最高裁判決」jと題する京都大学教授吉岡一男作成の判例評釈(「法学教室 No.
67、1986年4月号」、日本評論社発行)で、同教授は、次のように上記各最高裁決定に対して疑問を表明されている。
『ところで、大麻取締法違憲論の中心は、すでに一般論としては最高裁(最大判昭和49・11・6刑集二八巻九号三九三一頁)も「刑罰規定が罪刑の均衡その他種々の観点からして著しく不合理なものであって、とうてい許容し難いものであるときは、違憲の判断を受けなければならない」として認めている31条違反の点であり、右に.みた大麻の有害性論議も主としてはその点に係るものであるが、ここでは、大麻の有害性それ自体ではなく、その所持・輸入等が、実体要件としての犯罪の実質性を持つかが問題である。そこで、「有害性」が薬理作用そのものないしはせいぜい使用者本人への有害作用に止まる場合には、そのような意味での大麻の有害性を認めた上でもなお、本質的には自傷行為にすぎない例えば自己使用目的での所持等に犯罪行為としての実質があるか(パターナリズムは刑罰的介入の理由として十分か)を問いうるのである。従って、本件の決定が、大麻の有害性が肯定されるが故に所論は前提を欠くとする点は、Aの上告趣意が有害性の不存在を手掛りとする限りではそれに応えるものと言えるが、Bの上告趣意やAの実質的主張に対して十分なものであるかには疑問がある。酒・煙草との比較を31条違反と結びつけることは、大麻にも有害性を肯定した上で、なお、違憲を論じるものでもある。両決定の射程ということでは、また、憲法36条違反の点もある。とりわけAの原審のように「有害性」をとらえれば、経験者による少量の自己使用目的での所持など、その有害性が全く否定される場合もありうる。このような事案では、前述の31条に関連しての適用違憲のほか、刑罰量によっては、近時の有力説に従い(最判昭和23・6・30刑集2巻7号777頁は「直ちに」に力点をおくことになる)36条の残虐刑禁止違反を主張する余地も残されているといえよう。』
7。最高裁判所{最高裁昭和60年(あ)第445号同年9月10日第1小法定決定・裁判集(刑事)240号275頁}は、大麻の有害性を認定しているが、その具体的内容は、自動車運転に対する影響のみである。自動車運転における酒やその他の薬物の規制はすでに道路交通法で規制されており、それ以上に大麻を規制する具体的理由は存在しないものである。
大麻に対する規制は、酒や煙草に対する規制(以下に引用する未成年者飲酒禁止法・酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律や未成年者喫煙禁止法)と同様で十分である。大麻取締法の規制は、これらの酒や煙草に対する規制と比較してあまりにも著しく厳しいものであり、憲法第14条の趣旨にも反するものである。
① 未成年者飲酒禁止法
(大正十一年三月三十日法律第二十号)
最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第二条 満二十年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得
第三条 第一条第三項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
2 第一条第二項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス
第四条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第一項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同項ノ刑ヲ科ス
① 未成年者喫煙禁止法
(明治三十三年三月七日法律第三十三号)
最終改正:平成一三年一二月一二日法律第一五二号
第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
第二条 前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス
第三条 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス
第四条 煙草又ハ器具ヲ販売スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ喫煙ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
第五条 満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
第六条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同条ノ刑ヲ科ス
③ 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律第4条(罰則等)1項 では、 「酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処する。」とし、2項では、「
前項の罪を犯した者に対しては、情状により、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。 」と規定している。そして、拘留又は科料の内容としては、刑法第16条・17条で次のように規定している。
(拘留) 第16条 拘留は、一日以上三十日未満とし、拘留場に拘置する。
(科料)
第17条 科料は、千円以上一万円未満とする
第3。大麻取締法の違憲性3(大麻取締法第4条4号・第25条の違憲性について )
大麻取締法第4条4号は、大麻に関する広告を禁じているが、右規定は大麻に関して公に意見を発表することを刑事罰(同法第25条で1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる。)でもって原則的に禁止するものであり、憲法第13条・第19条・第21条に明白に違反する疑いがある。
このような明白な違憲規定を有する大麻取締法は、法律それ自体の保護法益が不明確なことと目的規定を欠いていることとあいまって、大麻取締法全体が違憲と評価されるべきである。